岸田・バイデン首脳会談の評価
Japan In-depth / 2022年1月25日 12時42分
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2022#04 2022年1月24-30日
【まとめ】
・中国、北朝鮮関連、朝鮮半島を巡る日米韓関係については前回会談と変わりなし。
・「新たに国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を策定し、日本の防衛力を抜本的に強化する『決意』」を表明した部分は重要。
・日米経済版「2+2」の立ち上げに合意したこと、「核兵器のない世界」に向けて共に取り組んでいくことを確認したのは新しい部分。
早いもので2022年も既に4週目に入った。やはり今週のハイライトは1月21日夜の岸田・バイデンテレビ首脳会談だ。日本時間で午後10時だから、ワシントンでは朝8時。いずれも人によってはシンドイ時間帯だが、日米だから仕方がない。時間的には約80分、お世辞抜きで、結構うまくいったのではないかと思う。
今回の日本政府の発表文を、前回昨年4月の菅・バイデン首脳会談の際の日米共同声明文と比較してみると、今回の首脳会談の意義が見えてくる。そもそも、この種の文章は、公式の共同声明であれ、政府発表文であれ、継続部分と新規部分があるものだが、筆者が注目した今回と昨年の主な共通点・相違点は次のとおりだ。
1、(「自由で開かれたインド太平洋」との関連で)岸田首相から、バイデン大統領の訪日を得て日米豪印首脳会合を本年前半に日本で主催する考えである旨述べ、バイデン大統領から、支持が表明された。これは重要な新規部分である。
2、(中国について)両首脳は、①東シナ海や南シナ海における一方的な現状変更の試みや経済的威圧に反対し、②台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促し、③香港情勢や新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念を共有したが、この点は前回の共同声明とあまり変わらない。
強いて言えば、前回記された「日米両国は、中国との率直な対話の重要性を認識するとともに、直接懸念を伝達していく意図を改めて表明し、共通の利益を有する分野に関し、中国と協働する必要性を認識した」なる表現が今回はなかった。長くなるので削除したのか、それとも、意図的に削除したのか、気になるところだ。
3、(朝鮮半島について)両首脳は、①安保理決議に沿った北朝鮮の完全な非核化に向け、引き続き日米・日米韓で緊密に連携していくことで一致し、②拉致問題の即時解決に向け米国の支持を得、③共通の課題への対応における日米韓の緊密な協力の重要性を確認し、日米韓の強固な三か国関係が不可欠であることを強調したが、この点も大きな変化はない。
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