岸田・バイデン首脳会談の評価
Japan In-depth / 2022年1月25日 12時42分
相違点といえば、「日米・日米韓で緊密に連携」と書いたため、「日韓で緊密に連携」のないことが逆に浮き彫りになったことぐらいか。
4、(ウクライナについて)両首脳は、①引き続き日米で連携し、②ロシアによるウクライナへの侵攻を抑止するために共に緊密に取り組むことにコミットし、③日本が、いかなる攻撃に対しても強い行動をとることについて関係国等と緊密に調整を続ける、とされた。今後プーチンの行動次第では日本の対応が難しくなるかもしれない。
5、(安全保障問題について)両首脳は先の日米「2+2」共同発表を支持したが、日本が、「新たに国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を策定し、日本の防衛力を抜本的に強化する『決意』」を表明した。この部分も重要だ。
6、(経済面では)日本から「新しい資本主義」の考え方を説明し、両首脳は、①次回首脳会合で、持続可能で包摂的な経済社会の実現のための新しい政策イニシアティブについて議論を深めていくことで一致し、②閣僚レベルの日米経済政策協議委員会(経済版「2+2」)の立ち上げに合意した。この点も新しい要素である。
7、最後に、両首脳は、「核兵器のない世界」に向けて共に取り組んでいくことを確認した、とあるが、これは実に岸田首相らしい新規部分であろう。
もう一つ、今週筆者が気になったのがウクライナ問題に対するドイツの対応振りだ。各種報道によれば、ウクライナをめぐる米露対立の中で、①ドイツはエストニアがウクライナにドイツ製榴弾砲を供与することに反対し、②ドイツ海軍司令官がロシアを擁護する失言により解任され、③ドイツ外相もウクライナへのドイツ製兵器供与に慎重な姿勢を示しているという。どこか東アジアでの日本の立場に似ている、かもしれぬ。
いずれにせよ、こうした一連の動きで、NATO諸国間にドイツ新政権のロシア政策に対する疑念が生まれているらしい。確かに、ドイツとロシアが結ぶ時、東欧諸国が酷い目に遭って来た歴史はある。だが、ウクライナ問題がNATO諸国間の疑心暗鬼を助長するのだとすれば、それこそプーチンの思う壺ではないか。この点も要注意だ。
〇アジア
北京五輪開幕が近いのに、北京では新型コロナ感染が増えている。これまでに入国時の空港や選手村などで大会関係者72人の感染が確認されたそうだが、実態はもっと多いだろう。それでも五輪が始まったら、この種のニュースはなくなる。中国が主催する北京五輪に「失敗」はなく、中国政府の「ゼロコロナ」政策は無謬なのだから。
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