ミャンマー、クーデター1年弾圧強化
Japan In-depth / 2022年1月29日 15時7分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・ミャンマーは、2月1日にクーデター1年を迎える。
・2月1日、首都ヤンゴンなどでは民主派の「沈黙の抵抗」によるゼネストで都市機能マヒの可能性。
・軍にえん戦気分蔓延、兵士の離脱、投降も相次いでいる。
2月1日にクーデター1年を迎えるミャンマーでは軍政と対峙する各都市の武装市民や国境周辺の少数民族武装勢力との間での戦闘激化が伝えられているが、無抵抗・非武装の一般市民への強権弾圧も増すなど軍政は治安安定を懸命にアピールしようとしている。
ミャンマーでは民主勢力の地下潜伏指導者が2月1日を「沈黙の抵抗」の日として午前10時から午後4時まで自宅に留まり、外出を控えるよう呼びかけている。商店は店を閉じ、事務所や会社には出勤することなく自宅に留まって軍政への「抵抗」を「沈黙」の形という一種の「ゼネスト」で訴えようという試みだ。
1日の午後4時には自宅などで一斉に拍手してこの抵抗運動を終えようとも呼びかけており、SNSなどを通じて広く反軍の立場をとる国民の間に広く浸透しているという。
こうした動きに苛立ちをみせている軍政は、「沈黙の抵抗」への参加予定の市民に対して「民主派勢力によるプロパガンダである運動への参加者に対してはテロ対策法や扇動罪での逮捕、訴追も辞さない」と強硬姿勢を見せており、すでに2月1日に閉店を予定している商店主や営業中止を案内した事務所や会社などのビジネスマンなど摘発に乗り出しているという。
▲写真 軍によって撃たれて死亡した20歳のアウンザイミンの葬儀で、悲嘆にくれる母親(2021年3月27日、ミャンマーのヤンゴンで) 出典:Photo by Stringer/Getty Images
■ 難民に対しても強硬姿勢
1月7、8日にミャンマーを訪問して軍政トップのミン・アウン・フライン国軍司令官と会談したカンボジアのフン・セン首相に対して、軍政は少数民族武装勢力との間で一方的に停戦を表明する一方で民主勢力の武装市民組織である「国民防衛隊(PDF)」などに対しては徹底的に弾圧する姿勢を改めて表明した。
「武装勢力とテロリストは異なる」との姿勢を明確にしている軍政だが、少数民族武装勢力との戦闘は継続しており、各地で犠牲者は増加、停戦表明があくまで軍政による一方的な「和平姿勢アピール」のプロパガンダに過ぎなかったことが浮き彫りとなっている。
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