ミャンマー、クーデター1年弾圧強化
Japan In-depth / 2022年1月29日 15時7分
東部カヤー州では少数民族武装勢力「カレンニー国民防衛隊(KNDF)」と軍による1月初めからの空爆を含めた戦闘で、一般市民約20万人が難民化していると反軍政の独立系メディア「イラワディ」などは伝えている。
戦闘を逃れるためにタイとの国境付近やジャングル地帯に多くの市民が避難しており、州都ロイコーやデモソなどの都市では人口が急減しているという。
こうした一般市民の難民に対しても軍政は食料や医薬品、生活支援物資などを支援する組織の輸送を妨害するなどして圧力を加えており、難民は食糧難と深刻な健康不安に直面するなど新たな人権問題となっている。
こうしたことから軍政による「武装市民はテロリスト」として徹底弾圧を続ける一方で、非武装・無抵抗の一般市民や避難民などに対しても強権弾圧を続けるという「ダブルスタンダード」が露呈する状況となっており、国際的な人権団体などからの非難が強まっている。
■ 軍・警察内に厭戦気運広がる
中部サガイン地方域のカニ郡区で1月27日に軍と武装市民組織PDFの戦闘員による戦闘が発生、PDF側によると軍兵士20人が死亡したという。また26日にはチャンタルス村の河川に展開していた軍の舟艇をPDFが攻撃して兵士15人を殺害したと「イラワディ」に明らかにしている。
こうした軍とPDFや少数民族武装勢力との戦闘が各地で激化するなか、軍兵士による軍の離脱、投降も相次いでいるという。
これまでに軍、警察を「市民に銃口は向けられない」として離脱、投降した兵士や警察官は少なくとも1500人に上っていると独立系メディアなどは伝えている。西部では国境を越えてインド側に逃れた警察官とその家族約300人の強制送還を軍政はインド政府に呼びかける事態ともなっている。
こうした動きは国営メディアでは一切伝えられてはいないが、軍内に無抵抗・非武装の一般市民への強権弾圧やPDFやその支持者への焼殺や斬首といった残虐行為に反発して、厭戦思想や反軍気運が起きていることを示しているといえるだろう。
こうした中で迎える2月1日のクーデター1年を軍政はなんとしても国内治安の安定を内外にアピールしようとしているが、軍政に抵抗を示す武装市民や少数民族武装勢力は各地で攻勢を強め、一般市民は「沈黙の抵抗」で反軍政の強い意志を示そうとしている。
2月1日にヤンゴンなどの主要都市では「沈黙の抵抗」に共鳴し、支持する市民による実質的なゼネラルストライキの呼び掛けで都市機能が大規模にマヒすることが予想されており、これに対して軍や警察がどこまで強権弾圧を行使するのかが最大の注目となっている。
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