毅然さ欠く日本のウクライナ危機対応 クリミア併合時の轍踏むな
Japan In-depth / 2022年1月29日 23時0分
この時のアメリカ、欧州の制裁は、貿易、経済分野での政府間協力、軍事協力、エネルギー企業5社への深海、北極での油田開発への技術供与をそれぞれ停止するなどが中心。
エネルギー産業を狙い撃ちにして打撃を与えるのが目的だった。
今回、日本にとって、クリミア併合時の轍を踏むことは、もはや許されまい。一流国にとどまることができるか、二流国に転落するかの瀬戸際に置かれている日本が、軽い制裁にとどめるようなことを、あえてすれば、米国はじめ欧州などの失望を招き、日本の国際的地位の低下はいっそう強まろう。
■ 日本こそ、非難、制裁の先頭に立て
クリミア併合当時、当時の安倍政権が軽微な制裁にとどめたのは、安倍氏とプーチン大統領が個人的にも親しい関係にあったことが大きい。加えて北方領土問題の進展をはかるにはロシアとの良好な関係の継続が得策という判断もあったようだ。
しかし、岸田内閣になった今、日露関係そのものを含め、状況は大きく変化している。
北方領土問題についていえば、2018年の安倍首相とプ―チン大統領によるシンガポール合意で、日本は「4島返還」から「2島返還」に譲歩、方針転換を図ったものの、ロシアは、2島返還すら一顧だにしない姿勢を見せ、領土問題は完全に膠着状態に戻っている。
対露関係の悪化を防げば北方4島が返ってくるというならともかく、そうではないにもかかわらず、日本は慎重になる必要があるのか。
「力による現状変更」ということでは、ロシアのウクライナ侵攻も、わが国固有の北方領土の不法占拠も、国際法を無視した野蛮な行為の被害という点では根は同じだ。
それを考えれば、本来、日本こそウクライナに協力してロシア非難、制裁の先頭に立つべきだろう。
■ 岸田首相の安倍元首相依存脱却は対露政策から?
岸田首相の思いは国際的な連携より、国内政治に向いているのかもしれない。
昨年秋の自民党総裁選で、その協力がなければ勝利することができなかった安倍元首相の採った路線に変更を加えることに踏みきれないのかもしれない。安倍氏同様、2島返還でよしとする勢力が、国内に依然存在することも、岸田氏を慎重にしているのだろう。
しかし、岸田氏自身、就任直後の21年10月7日、プーチン大統領と電話で話し合った際、記者団に「4島の帰属を明らかにして、平和条約を締結する」と明言した。
林外相も年明けの1月13日、日本記者クラブの会見で「交渉の対象は4島だ」と述べ、「2島返還」を放擲して「4島返還」に立ち戻る岸田政権の政策変更の可能性をうかがわせた。
岸田氏の安倍依存への決別は、ウクライナ問題、対露政策からはじめてみてはどうだろう。それは日本が世界の信用をつなぎ留め、一流国にとどまる手段でもあるだろう。
トップ写真:森の中で戦闘訓練を受ける民間人の女性(中央) ウクライナ全土で数千人の民間人が基本的な戦闘訓練を受けており、戦争時にはウクライナ軍の直接の指揮下に置かれる(2022年1月22日 ウクライナ・キエフ) 出典:Photo by Sean Gallup/Getty Images
この記事に関連するニュース
-
クリミア奪還、外交的手段が唯一の方法=ウクライナ大統領
ロイター / 2024年11月21日 12時22分
-
ロシアのビザを取得して北方領土の国後島へ行った男性を直撃 渡航自粛の中、いったいなぜ?
HTB北海道ニュース / 2024年11月19日 16時47分
-
G20ブラジルで開幕 ウクライナ・中東巡り足並みに乱れ 首脳宣言採択は微妙な情勢
産経ニュース / 2024年11月18日 22時5分
-
次世代の声、国への圧力に 北方四島・択捉島元島民2世の会「しるし」代表 渡辺彰さん 令和人国記
産経ニュース / 2024年11月17日 8時15分
-
クリミア奪還「非現実的」 トランプ氏の元顧問
共同通信 / 2024年11月10日 9時10分
ランキング
-
1石川県西方沖でM6.6の地震 最大震度5弱 津波被害の心配なし
ウェザーニュース / 2024年11月26日 22時47分
-
2有名脱毛サロンが破産手続き 返金困難と告げられた会員女性「腹立たしい」 賃借料など膨らみ資金繰り悪化か
CBCテレビ / 2024年11月26日 18時40分
-
3【速報】共同通信の社長が外務省に謝罪 生稲晃子外務政務官の靖国参拝めぐる誤報問題で
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月26日 19時51分
-
4八戸5歳女児死亡の初公判、検察側「母親らは一日一食しか与えず隠れて食べていた女児に暴行」
読売新聞 / 2024年11月26日 15時45分
-
5兵庫・加古川の小2女児刺殺、小4刺傷容疑の男を再逮捕へ…「好みの女の子を尾行し刺した」供述
読売新聞 / 2024年11月27日 0時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください