「LGBTの治療」禁止法案、仏で可決
Japan In-depth / 2022年2月1日 19時0分
Ulala(著述家)
「フランスUlalaの視点」
【まとめ】
・仏国民議会、LGBTの「転向療法」を違法とする法律の改正案を全会一致で可決。
・仏では現在でも、同性愛嫌悪に基づく暴力が社会に根強く残っている。
・性自認の矯正を禁止する法律は、すでにドイツ、マルタ、スペインの各地域などで法制化。間もなくベルギー、オランダ、イギリスも。
2022年1月25日、フランスの国民議会で、LGBTの人々の性的指向や性自認を矯正しようとする、いわゆる「転向療法」を正式に違法とする法律の改正案が全会一致で可決された。この結果、性自認の矯正を目的に、身体的または精神的な影響を与えた場合は、最高で2年の懲役刑と3万ユーロ(約385万円)の罰金が科されることになった。
■ ヨーロッパにおけるLGBTの歴史
ヨーロッパにおけるLGBTは、長い間不遇の時代を送ってきた。西洋のルーツとも言われる古代ギリシャ、ローマ、ケルト社会では、同性間の関係は非常に一般的だったのにもかかわらず、キリスト教がローマ帝国の国教になり、同性愛に対して厳しい法律ができてから状況は一変した。
390年のテオドシウス1世皇帝の勅令では、同性愛者は公の場において火あぶりとされ、529年のユスティニアヌス1世のローマ法大全では、同性愛行為を行ったすべての人に去勢と処刑が規定された。その後もほとんどのヨーロッパ諸国では、長い間、同性愛者の行動が敵視され多くの人が迫害されてきたのだ。
しかし、フランスでは、一時的にその項目がなくなった時期がある。それはフランス革命後の1791年に出された全ての自由と平等を認めた新刑法だ。しかし、再び1942年8月6日、ヴィシー政権では、再び「自然に反する行為」とされ同性間の性行為を禁止して懲役6ヶ月から3年および罰金刑を課された。この法律により、社会における同性愛嫌悪に基づく迫害や暴力が再開したのだ。
1949年には、パリ警察によってバーにおける男性同士のダンスを禁止するなどの規制もできた。そのうえ、1960年、ドゴール政府は、アルコール中毒の対処とともに道徳的な見地から同性愛の制約を目的とし、刑法改正においても330条の「自然に反する」行為を公然わいせつ罪として6ヶ月から3年の懲役とした規定を残したのだ。さらに、1968年、フランスは精神疾患において、同性愛を性的異常とするOMSの分類を取り入れている。
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