中国の嘘を知ることの重要性
Japan In-depth / 2022年2月2日 19時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・中国共産党政権が公式に発表することの虚実、真偽を見分けることは日本にとって死活問題。
・米「ヘリテージ財団」報告書「中国の透明性」は、「中国の国家活動は他の主要諸国にくらべて透明性が極端に低い」と警告。
・日本としても中国のなにが真実でなにが虚偽だかを常に知らねばならない。
日本にとっての中国の動向の重要性がますます巨大となった。とくに2月4日からの北京冬季オリンピックの開幕では中国への日本国民の関心は飛躍的に高まる。その中国の動きは日本の国家全体を大きく揺さぶる。だから日本にとっては中国の動きを正確に知ることが欠かせない。
だが中華人民共和国の共産党政権が公式に発表することには事実の欠落が多い。秘密が多い。そして嘘も少なくない。その点のまさに虚実、真偽を見分けることは日本にとって死活問題ともいえよう。
私はこれまでの長い中国関連の取材や米中関係の報道を基礎にこの中国政府の公式発表の虚実を一冊の本にまとめた。『中国、13の嘘』(飛鳥新社刊)というタイトルの書である。表題はどぎついが中国の虚と実、嘘と真実の区分を体系的に、かつ具体例に基づき報告した実証的な本である。
▲写真 『中国、13の嘘』(著:古森義久 飛鳥新社刊)
内容は中国の国家活動である経済、エネルギーと環境、人権、影響力工作、軍事対外投資、政治と法律、技術などの各部門に分けての虚と実の検証である。
この報告の主要部分はアメリカの大手研究機関「ヘリテージ財団」が2021年にまとめた長大な調査報告「中国の透明性」に依拠した。「透明性」とは秘密かオープンか、虚偽が真実か、の尺度だといえる。
この調査報告の総括はごく大ざっぱに述べてしまえば、「中国の国家活動は全体として他の主要諸国にくらべて透明性が極端に低い、つまり不透明であり、秘密性が高い、だから注意せよ」という警告だった。
ヘリテージ財団のこの報告書は冒頭でこの種の研究がなぜいま緊急に必要とされるかを次の骨子で説明していた。
・中国で発生した新型コロナウイルスは全世界に前例のない破壊的な被害と危機をもたらした。数えきれないほどの人間の生命の喪失、未曽有の経済的な打撃は明白である。このような惨劇は二度と起こしてはならない。
・そのためにはこの大感染症がどのように発生し、どのように拡散したかを調べることが不可欠となる。だがその調査に立ちはだかるのは中国の秘密性、不透明性なのだ。コロナウイルス感染は米中関係の一大転換点ともなった。
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