中国の深刻な新生児の減少
Japan In-depth / 2022年2月4日 0時0分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・中国は新生児の減少という深刻な事態に直面している。
・国家統計局2021年人口統計によると、出産適齢期の女性の数が減少し続けており、出生率が低下し続けている。
・労働者数の減少で消費が低迷し、1人当たりの社会保障負担が増大するため、経済成長が阻害されるのではないだろうか。
現在、中国は新生児の減少という深刻な事態に直面している。その主な原因は、長く続いた「1人っ子政策」(1979年〜2015年)に求められるのではないだろうか(他に、中国の「都市化」も、その原因の1つかもしれない)。
2016年、ようやく「2人っ子政策」が開始されたが、あまり効果が見られなかった。そのため、昨2021年5月末、ついに「3人っ子政策」が導入された。それでも、今後、出生率の減少が続くと見られる。
『新唐人テレビ』は、「中国の出生率は年々低下しており、業界は10年以内に40%減少する」(2022年2月1日付)(a)という記事を公表した。以下は、その一部である。
中国の出生率は何年も前から低下している。中国のシンクタンク「21世紀教育研究所」は『中国教育ウォッチ2021』と題する報告書を発表した。それによると、中国の就学前教育は、供給と需要のバランスが逆転し始め、新たな歴史的転換点を迎えつつある。今後10年間で、園児数に対する幼稚園数は、15〜40%縮小するという。
同報告書によると、(「二人っ子政策」により新生児が増加した)2016年・2017年生まれの子供たちはすでに幼稚園に入園しており、2020年、幼稚園児数は4818万2600人で、ピークに達したという。
また、同報告書は、2023年から2025年にかけて幼稚園児数が4000万人にまで減少すると予測した。更に、2025年から2030年にかけては3000万人にまで減少し、就学前教育の規模が急激に縮小するだろうと指摘している。
さて、今年1月中旬、国家統計局は昨2021年の人口統計を発表(「王萍萍:総人口の増加は維持され、都市化レベルは着実に上昇」『中国経済網』2022年1月18日付)(b)した。内容は次の通りである。
昨年末の人口は14億1600万人で、前年(2020年)末より48万人増えた。しかし、昨年生まれた新生児は1062万人で、前年より約140万人減った(他方、昨年亡くなった人は1014万人で、前年より16万人増えている)。昨年、1000人当たりの出生率は前年より低く7.52人となっている(昨年の同死亡率は7.18人で微増)。
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