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武漢市民政局、2年もデータ未公表

Japan In-depth / 2022年2月9日 11時0分

武漢市民政局、2年もデータ未公表


澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)


【まとめ】
・武漢市は2019年以降、死者数などの統計を公表していない。


・市民は「骨壺」数や「遺体焼却」数から独自に真相を探っている。


・自宅や路上での死亡は公式にカウントされず。感染者60万人、死者3万人との民間推計も。


 


武漢市民政局は、これまで四半期毎に様々な統計資料(a)を公開して来た(参照:统计信息-武汉市民政局)。ところが、2019年を境に、翌年以降、現在に至るまで約2年間、公式データを発表していない。通常ならば、2、3ヶ月に1度、遅くても約6ヶ月に1度は、前々四半期、あるいは前四半期のデータを公表してきたのである。異例だと言えよう。


周知の如く、2019年秋から年末にかけて、武漢市で、突然「新型コロナ」(以下、コロナ)が流行し始めた。同年12月末、李文亮医師(眼科)らが当局にコロナの危険性を通告した。ところが、同医師らは、逆に、当局から「あらぬ噂を立てるな」と警告を受けている。翌年2月、李文亮医師はコロナに感染し、亡くなった(享年34歳)。



写真)李文亮医師。武漢で原因不明の肺炎が広がっているといち早く警鐘を鳴らし、警察から処分され、自らも新型コロナウイルスに感染して亡くなった。33歳だった。(2020年2月7日 中国・武漢)
出典)Photo by Getty Images


さて、2020年旧正月(春節)以降、武漢市内の葬儀場は、連日、コロナ死した遺体の焼却で忙殺された。


武漢市民政局は、2017年第3四半期以降、遺体焼却数を公開してきた。しかし、冒頭触れたように、2019年第4四半期(2020年3月に公表)の数字が最後になっている。穿った見方かもしれないが、2020年以降、コロナ感染死者数が余りにも多いので、市当局が数字を隠蔽したのではないか。


ここで、武漢市4四半期分のデータ10期分(2017年下半期、及び2018年と2019年全年)から、焼却遺体数の推移〔図表1〕を作成した。18年・19年とも、四半期は右肩上がりとなっている。この図表を見る限り、何の変哲もない。



図表)筆者作成


ところが、17年下半期、18年同期、19年同期の遺体焼却数の推移をグラフにすると〔図表2〕になる。17年下半期(9万2728体)と18年同期(9万2537体)は、あまり変わらない。だが、19年下半期(9万8158体)は、前々年・前年同期と比べ、5000体以上も増えている(パーセンテージにすると、前々年より5.9%、前年より6.0%も増加)。若干、不自然ではないか。


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