値崩れし始めた中国不動産市場
Japan In-depth / 2022年2月20日 13時18分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・昨年12月から今年1月にかけて、多くの不動産会社がデフォルトを起こした。
・中小都市に端を発したマンションの値崩れは全国に広がり始めた。
・最終的には、中央政府が地方政府の赤字を補填しなければならないだろう。
周知の如く、中国の不動産会社中、ナンバー2だった中国恒大が、事実上、倒産した。しかし、他の不動産会社も経営難に直面している。
昨2021年12月から今年1月にかけて、以下の不動産会社がデフォルト(債務不履行)を起こした。
12月6日、陽光100中国控股(サンシャイン100チャイナ・ホールディングス)は、1億7000万米ドル(約199.5億円)の社債がデフォルトに陥ったと発表した。翌7日、佳兆業集団が同日、満期を迎えた社債4億米ドル(約460億円)を償還できなかった。
年明け1月6日、世茂集団は信託会社から受けていた融資に関して、6億4500万元(約116.1億円)の支払いが期限通りできず、デフォルトが発生した。同19日、中国奥園集団は20日と23日に満期を迎える米ドル建て社債10億8600万米ドル(約1248.9億円)を償還できないと発表した。
さて、中国の “3線都市”(比較的発達した中小都市)、“4線都市”(3線都市ほどは発達していない中小都市)で不動産が値崩れを始めた。おそらく、不動産バブルが弾けたのではないだろうか。
代表的なのは黒竜江省鶴崗市で、今般の不動産の値崩れは「鶴崗化」(a)と呼ばれる(値段は「白菜価格」という)。
黒竜江省鶴崗市では、55平方メートル規模の中古2LDKが3万元(約54万円)で手に入る。2012年、鶴崗市は国務院(内閣)から「資源枯渇都市」に指定され、昨年、最初の“財政再建”地級市(中国の行政単位の一つ。地区、自治州等と共に二級行政区)となった。
写真)古いスラムを解体し、高層アパートに置き換わる。黒竜江省綏化市(すいかし) 2009年10月3日
出典)Photo by Ashley Cooper/Construction Photography/Avalon/Getty Images
北京師範大学不動産研究センターの董藩主任は、「鶴崗市では産業が衰退し、人口が流出することによって、現地の住宅価格は更に下落するだろう」「最も良い解決策は同市から離れることだ」との見解を示した。
他に「鶴崗化」した都市は、黒竜江省双鴨山市、遼寧省鉄嶺市、同阜新市、寧夏回族自治区石嘴山市、甘粛省玉門市、同張掖市、雲南省箇旧市、広西チワン族自治区百色市等(b)である。
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