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値崩れし始めた中国不動産市場

Japan In-depth / 2022年2月20日 13時18分

例えば、安徽省淮南市では、50〜60平方メートルの中古2LDKが4〜5万元(約72万円〜90万円)で購入できる。また、同市内では総額10万元(約180万円)以下の住宅が54戸を数えるという。


「鶴崗化」現象は、東北地方から西北地方と西南地方に広がり、小都市の住宅が「白菜価格」で売られている。今や「鶴崗化」は裕福な長江デルタにまで広がった。


なぜ、このような事態が起きているのか。その原因はマンションの“供給過多”にあるのではないだろうか。


かつて、我が国でもリゾート地に多くのマンションが建築された。有名スキー場近隣地域等である。新築当時は、数千万円の値がついたマンションが、今では、文字通り「白菜価格」で売却されている。


マンションの維持費(年間数十万円)が高いので、それを手放す所有者が少なくない。ただ、日本の場合、この現象は今のところ、主にリゾート地に限定されているのではないか。中国の場合、それが全国規模で起き始めた。


一般に、日本では年収の5〜6倍の戸建てやマンションを購入する。だが、中国では、一部の人は年収の30倍以上でマンション購入(c)するという。我が国では、到底、あり得ない事が中国で起きている。


これは、マンションが“投資”ではなく、“投機”対象になっているせいではないだろうか。中国全土に不動産建設が行われ、すでに34億人も住めるマンションが建てられている(d)。そのため、“鬼城”(ゴーストタウン)が全国に点在する。


実は、地方政府は、財政を補うため不動産事業に関与してきた。政府系ディベロッパーも少なくない。仮に、それら政府系ディベロッパーが破綻したら、地方政府の赤字が急増するに違いない。


最終的には、中央政府が地方政府の赤字を補填しなければならないだろう。目下、北京政府の財政赤字はGDPの300%(e)と言われるが、今後、ますます厳しい状況に陥るのではないだろうか。


 


注)
(a)『RFA』(米議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局。民間の非営利法人が運営)「長珠江デルタでも鶴崗白菜価格の急落、不動産市場の崩壊が全国に拡散」(2022年2月14日付)。


(b)楼市黄大大「中国の小都市の住宅価格の鶴岡化は、すでに長江デルタにも広がっているのか?」『中国瞭望』(海外の中国人オンラインメディアで、諸外国で影響力のある中国語ポータルサイト)(2022年2月13日付)


(c)『zakzak』「習政権は不動産バブル崩壊を止めるか 住宅価格が標準世帯年収の30倍以上に達する都市も」(2021年10月15日付)


(d)『サーチナ』(ポータルサイトで、名称はサーチ <search)>とチャイナ <China)>からの造語)「中国の『鬼城』(ゴーストタウン)50カ所以上、破たんに突き進む不動産開発=青島大教授が警鐘」(2015年12月23日付)


(e)『ロイター』「中国の債務がGDPの300%を突破、世界全体の15%に:IIF」(2019年7月18日付)


 


トップ写真)中国湖北省武漢の恒大集団長青社区に建つマンション郡 2021年9月26日
出典)Photo by Getty Images


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