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コロナ対策に福島の教訓活かせ

Japan In-depth / 2022年2月24日 23時0分


図4)100人あたりのCOVID-19ワクチン追加接種終了率の比較


出典)Official Data collated by Our World in Data


 追加接種は、オミクロン株対策の中核だ。2月1日、米ロサンゼルス市の公衆衛生当局は、追加接種により感染が44%、入院が77%減少したことを米疾病管理センター(CDC)が発行する『MMWR』誌に報告している。感染予防効果はいまいちだが、重症化のリスクを77%も減らすことは大きい。なぜ、日本で追加接種が遅れたのか、検証が必要だ。


 では、現在、我が国でやるべきは何だろうか。政府は規制を続けている。本稿を執筆している2月23日現在、31都道府県にまん延防止等重点措置が採られている。政府が規制を続ける理由は「高齢者の重症化(尾身茂・コロナ感染症対策分科会会長)」だ。


 私は、このような主張に違和感を抱く。高齢者が重症化する最大の理由は、前述したように追加接種を怠ったからだ。まん延防止措置をとることで、どの程度、高齢者の重症化が予防できるか、明らかではない。一方、福島県の経験が示すように、規制強化は高齢者の健康に悪影響を及ぼす。


 実は、コロナ流行下で日本での死亡数は増加している。医療ガバナンス研究所の山下えりかの調査によれば、2017~19年の死亡数と比較し、2020、21年の5月は、1.25倍、1.37倍、8月は1.29倍、1.35倍、更に2021年の1月には1.19倍死亡者数が増えていた。コロナが流行する度に死亡が増加していることがわかる。この増加は自然変動では説明がつかず、国立感染症研究所は「超過死亡」を認定している。


 「超過死亡」はコロナ感染による死亡が増えたためではない。2021年1月には過去3年間と比べて、2万4,748人死者が増えているが、この時期にコロナによる死亡が認定されたのは、2,261人(9.1%)に過ぎない。コロナの流行時期に合わせて、コロナ感染者の10倍以上のコロナ関連死が生じていたことになる。


 このことについて政府・専門家の認識は甘い。2月18日に開催された厚労省の厚生科学審議会・ワクチン分科会副反応検討部会、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議に参考人として出席した鈴木基・国立感染症研究所感染症疫学センター長は、「(超過死亡は)コロナ感染増と医療逼迫が影響」と説明している。これはワクチン接種が超過死亡の原因であると指摘する一部の声に対する反論なのだが、あまりにもピントがずれた解釈といわざるを得ない。


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