朝日新聞とヒトラー 最終回 狡猾だが幼稚なレッテル貼り
Japan In-depth / 2022年2月28日 11時0分
この記事は朝日新聞の2017年10月30日朝刊の「政治断簡」というコラムだった。見出しは「『脅威』に屈しないリベラルを」とあり、筆者は編集委員の松下秀雄記者となっていた。その趣旨はもちろん自民党非難、とくに安倍晋三首相への悪口雑言に近い非難である。
その松下記者のコラム記事のハイライトを紹介しよう。
≪ナチス・ドイツの国家元帥、ゲーリングはこう語っている。「我々は攻撃されかけている」と訴え、「国を危険にさらしている」と平和主義者を非難すれば、人々は意のままになる。このやり方は、どんな国でも有効だ――
自由な社会でも、狂気の指導者がいなくても、不安に働きかける手法は通用する。
衆院選の光景をみて、この話を思い出し、胃液が逆流するような苦さを感じた。安倍晋三首相は各地の街頭で、真っ先に「北朝鮮の脅威」を訴えた。こんな演説、時の首相から聞いた覚えはない。
むろん戦争をしたいのではなく、票が増えると踏んだのだろう。麻生太郎財務相は自民大勝の選挙結果には「明らかに北朝鮮のお陰もある」と吐露している≫
ゲーリングというのはナチスはナチスでも、100年も前の1918年に終わった第一次世界大戦でドイツ帝国軍のパイロットとして活躍した軍人である。その後、ナチスに加わり、ヒトラー政権の中枢となったが、とにかく古い。だが松下記者はいまの民主主義の日本の安倍首相の言動はそんな100年近く前の帝国ドイツやナチスの軍人と同じだと断ずるのである。
松下記者は2017年の総選挙で安倍首相の演説を聞いて、そのゲーリングの言葉を思い出し、「胃液が逆流するような苦しさを感じた」というのだ。本当だろうか。同記者はいつもゲーリングの言葉を胸にして、目の前の日本の政治をみているのだろうか。そしてなによりもこのゲーリングと安倍晋三との重ねあわせが愚の骨頂であることに気づかないのだろうか。
ヒトラー時代のドイツと、いまの日本と、時代も環境もあまりに異なる。共通項などなにもない。なんの関係もない二人の人物をいま重ねあうのは、ひとえに松下記者の頭の「安倍憎し」のオブセッション(妄念)と思えてくる。安倍叩きのためなら、悪魔でも引き合いに出すという、記者としてのゆがみの結果だろう。いや朝日新聞というメディア全体のゆがみだといえよう。
しかも松下記者が引用するゲーリングの言葉は自国への「攻撃」や「危険」は実在しないのに、ただ戦争をしたいためにそんな言葉を使って煽るのだという意味である。そして安倍首相の説く「北朝鮮の脅威」も実在しないと示唆している。実在しないのに「票が増える」とみて、その脅威を訴えている、というのだ。
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