ユーロ圏物価上昇、過去最高
Japan In-depth / 2022年2月28日 18時0分
ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のドナフ議長は2月初め、インフレ高進がユーロ圏の成長を阻害しており、域内の財務相は懸念しているとの見解を示した。そのうえで、欧州議会の経済委員会に対し、「物価上昇で経済成長のほか、市民の購買力が影響を受けており、ユーロ圏財務相は当然懸念している」とし、「物価上昇の要因が解消するのに予想より時間がかかっている。主な要因はエネルギー価格だが、力強い需要や供給網のボトルネックなどのテクニカルな要因も作用している」と述べた。
さらに、ECBが物価上昇抑制に向け可能な限りの措置を講じると確信しているとしつつ、供給制約の問題を解消することはできないと語った。
そして「これまでのところ、賃金上昇による大きな二次的影響の兆候は出ていない」とし、「インフレ率は低下し始め、23年にはECBが目標とする2%を大きく下回る」と予測。各国政府はエネルギー価格の上昇による影響に対応しているとしながらも、ロシアとの緊張の高まりがエネルギー価格ひいてはインフレ率の見通しに影響するとし、「こうした文脈の中で地政学上の緊張の高まりも考慮しなければならない」と述べた。
■ 成長率も下方修正
欧州委は22年のユーロ圏実質GDP(域内総生産)については前年比4.0%増加するとの見通しを示した。昨年11月公表の4.3%から下方修正した。
欧州委のジェンティロー二委員(経済担当)は記者会見で、「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は引き続き堅固だ」と指摘。供給制約が次第に解消され、物価上昇圧力が弱まれば「EU経済は牽引力を取り戻すだろう」と強調した。
主要国別の22年のGDP予想は、イタリアが4.1%増、ドイツとフランスが3.6%増でいずれも下方修正。特にドイツでは自動車産業などでの供給制約が重しとなり、前回予想(4.6%増)から大幅に下振れした。
◇ アジア向けを欧州向けに変更
欧州において昨年秋以来のエネルギー価格高騰で最も目立つのは天然ガス価格の急上昇だが、ウクライナのコルスンスキー駐日大使は2月9日の東京都内の日本記者クラブでの記者会見で、欧州が需要の約4割を依存するロシア産天然ガスについて、ロシアは21年8月以来、欧州におけるストック減少分の補充を停止しているとの見方を明らかにした。
欧州における天然ガス需給がひっ迫する中で、大生産国である中東のカタールからアジア向けに輸送中のLNGタンカーの一部の仕向け地が欧州に変更される事例も目立つようになったという。
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