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中南米でロシアの影響力じわりキューバにミサイル配備説も

Japan In-depth / 2022年3月1日 7時0分

ただ、中南米問題専門家の間では「ロシアが当面、中南米の戦略的パートナーとして最も重視するのはキューバよりもベネズエラ」(ペルーのカトリカ大政治学者)との見方が有力だ。





ベネズエラとロシアの関係は近年極めて良好。ベネズエラでは反米左翼の故チャベス大統領が2006年にプーチン大統領と会談して以来、スホーイ戦闘機や攻撃ヘリの大量購入、合同軍事演習の実施など、ロシアとの軍事協力が一気に進んだ。





チャベス政権を引き継いだマドゥロ現政権もロシアとの間で軍事・経済面の緊密な関係を維持する。マドゥロ大統領は2018、19年と立て続けにモスクワを訪問、軍事技術やエネルギー、食糧、医療など広範な分野で大型支援を取り付けた。





ロシアは2018年、米国の制裁を受けているマドゥロ政権への支援を表明するため、核兵器搭載可能な長距離爆撃機Tu-160をベネズエラに派遣。翌年には約100人の軍人がロシア空軍の航空機でカラカス入りしている。





ベネズエラ沖のラオルチラ島にロシアが空軍基地を設置する意向が伝えられたこともある。マドゥロ大統領は2月中旬、カラカスを訪問したロシアのボリソフ副首相と会談、現地メディアは両国が軍事協力の拡大で合意したと報じた。









写真)ベネズエラに派遣されたのと同型の核兵器搭載可能な長距離爆撃機Tu-160(ロシア・エンゲリス 2008年)


出典)Photo by Wojtek Laski/Getty Images


■ 中南米の左傾化がロシア進出への道開く


 ロシアとニカラグアの関係緊密化も目立つ。反米左翼のオルテガ大統領が2007年に政権に復帰して以来、T‐72戦車はじめロシアからの兵器売却が急増している。


 2017年にはロシアの衛星測位システム(GLONASS)用の地上施設がニカラグア国内に設置されたことが確認された。先ごろベネズエラ訪問の後、ニカラグア入りしたロシアのボリソフ副首相がオルテガ大統領との会談で「両国の軍事・技術協力は今後も継続される」と述べたとの報道もある。



写真)ニカラグアへの売却が急増しているロシア製T-72戦車。写真はインド軍のもの。


出典)Photo by Robert Nickelsberg/Getty Images


中南米にはキューバ、ベネズエラおよびニカラグアのほかにも、ロシアとの関係が強まる可能性がある国が少なくない。


アルゼンチンのフェルナンデス大統領が2月初め、モスクワでプーチン大統領と会談し、対米依存から脱却し、ロシアとの協力の重要性を強調する衝撃的発言をしたことはまだ記憶に新しい。ロシアは原子力開発や宇宙分野などで協力を推進する意向のようだ。


ボリビアの原子力開発にもロシアが積極的に協力する姿勢を見せているし、ペルーは過去にロシア製兵器を大量購入した経緯もあり、軍事面での新たな支援を求める可能性が指摘されている。


アルゼンチン、ボリビア、ペルーはいずれも反米ないし、米国と距離を置こうとする左翼政権下にあり、最近の中南米の左傾化の流れを象徴する。「中南米の反米左傾化が続けばロシアのさらなる進出への道を開く」(米国の中南米問題専門家)との声が高まるゆえんである。


(了)


トップ写真)プーチン露大統領(右)とベネズエラのマドゥロ大統領との会談(2016年10月10月 トルコ・イスタンブール)


出典)Photo by Mikhail Svetlov/Getty Images






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