「岸田棒読み内閣」に物申す
Japan In-depth / 2022年3月6日 15時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・岸田内閣は首相はじめ閣僚たちが公開の場で話すとき、メモを棒読みする人たちばかり。
・参議院予算委員会でも林芳正外相、野田聖子内閣府特命担当相らは軒並み片手につかんだ答案用紙をただ読みあげるだけだった。
・もう少し人間らしい話し方、政治指導者らしい答弁ぶりをみせてほしい。
岸田内閣は岸田文雄首相はじめ閣僚たちが公開の場で話すときに、事前に準備したメモを棒読みにする人たちばかりである。自分の頭脳で考え、自分の発声で表現するという政治指導者の基本能力がないのだろうか。
自分の言葉で話すという実例は、いま全世界で悪評を浴びるロシアのプーチン大統領が最たる代表だろう。アメリカのトランプ前大統領も事前に草稿を読み上げることは少なかった。日本でも小池百合子東京都知事は人前で単に草稿を読むという感じは少ない。
岸田内閣は昨年10月に誕生して、すでに5カ月である。もうそろそろ行政に慣れたという感じが出てきてよいだろう。ましていまの日本はコロナウイルスの大感染がなお続き、国家的な危機にある。国際的にも中国や北朝鮮の脅威に加えて、ロシアの大侵略が衝撃波を広げる。
日本政府の幹部たちにはしっかりリーダーシップや判断力、認識を示してもらいたいという国民の期待は高いのだ。だが大臣たちがだれが書いたのかもわからない原稿をただ読みあげるだけでは人間としての指導性などまったく伝わってこない。
岸田首相は外務大臣を4年半も務め、首相就任の当初は外交通という評判だった。だが外交も内政も重要案件は自分の頭に入っているという印象がまったく希薄である。自分自身の言葉で話しているという感じがしないからだ。記者会見でも他の質疑応答でも、とにかく誰かが準備した原稿を読みあげることが多いのだ。
人間同士のコミュニケーションでは一方が自分の頭に浮かんだ意見や感想をそのまま自然に口から発するという場合と、すでに紙に書かれた字句をただ読み上げる場合とでは、疎通の度合いがまるで異なる。ごく当たり前のことである。
だが人間だれでも、自分の頭に理解がないこと、考えつかないことは、自然と口に発することはできない。だから事前に準備したスクリプト(台本)が必要になる。だが単に読み上げるというメッセージでは聴く側の人間の心や頭にビーンと響かないのも当然だろう。
だから岸田内閣の大臣たちが首相はじめとして、国会でも、テレビでも種々な発言をしても、そこにはよくも悪くも人間性を感じさせる要素が少なくなる。
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