幻のワクチン担当大臣
Japan In-depth / 2022年3月7日 23時29分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・国民の最大関心事ワクチン接種担当の堀内大臣の姿も声も見えない。
・国会で答弁が野党からの批判を浴びる場面が目立つ。「答弁能力に懸念」との指摘あり。
・コロナ禍という国家非常時に、岸田首相は派閥内の利害や恩義を国民の福祉に優先させた。一刻も早く適格なワクチン大臣の任命を。
君はワクチン担当大臣を見たことがあるか?
ついこんなことを問いたくなる。岸田内閣に存在するはずの新型コロナウイルスへのワクチンの扱いを担当する大臣がその存在を少しも感じさせないからだ。
いまの日本国民にとっての日常生活での最大関心事といえば、まずはコロナウイルスの感染防止対策だろう。至近にすでに感染した人がいるという家庭も多いだろう。だからとにかく感染を防ぐ、予防措置をとる、というのが切迫した課題である。となると、最も気になるのはワクチンの接種だろう。
ワクチンをいつ、どこで、どのように受けるべきか。国民にとってのこの緊急の関心事にまず応じるのは公共機関の責務である。日本の政府の切迫した責任である。だがその政府の責任の頂点に立つはずの岸田内閣のワクチン担当大臣が姿も声もみせないのだ。
そもそもいまのワクチン担当大臣がだれであるかを知っている国民は少ないだろう。
私自身、新聞、テレビ、インターネットなど仕事として広範に注意を払っているが、ワクチン担当大臣の動向に気がつくことがない。影さえみえてこないのだ。
▲写真 河野太郎前ワクチン接種担当相(2021年6月8日) 出典:首相官邸ホームページ
菅義偉政権の時代は河野太郎氏がワクチン担当大臣として、それなりの活動が目についた。ワクチン接種をどう進めるかを公開の場で語っていた。ところが岸田政権になると、ワクチン担当大臣は消えてしまったようなのだ。
このミステリーの真相はちょっと調べるとすぐにわかった。
まずいまのワクチン担当大臣は堀内詔子(ほりうち・のりこ)衆議院議員である。正式のタイトルはワクチン接種推進担当大臣、堀内氏は山梨県2区選出、当選4回の議員である。
ところがこの堀内大臣は明らかに大臣としての能力に欠陥があるようなのだ。国会などでの答弁がしどろもどろで、政府を代表して発言させることがためらわれる、というのだ。
主要新聞にもすでに堀内議員が大臣としての能力に欠けるという趣旨の報道が多数、あった。そのうちの一つ、朝日新聞2021年12月16日朝刊の記事の記述を以下に抜粋しておこう。なお記事の見出しは「悩める堀内ワクチン相 揺れる答弁 『政府に迷惑かけられない』」となっていた。
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