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22年中国政府活動報告を読む

Japan In-depth / 2022年3月8日 12時0分

他方、李首相はしばしばストレートにものを言う (一昨年、中国では6億人が1ヶ月1000元<約1万8000円>で暮らしていると暴露)。習主席にとって、李首相は目障りな存在ではないだろうか。したがって、もし習総書記の第3期目が実現すれば、李首相は解任され、全国人民大会主席という“名誉職”に追いやられるという見方が強い。





ただし、万が一、習主席が失脚し、「反習派」が実権を掌握すれば、李首相が総書記(兼国家主席)に就任するというシナリオがないではない。





第2に、昨年の「報告」には、国内と国外との経済をリンクする「双循環」(国内大循環を主体として、国内外の双循環が互いに促進する経済の新発展モデル)が強調された。だが、今年の「報告」には、その言葉がどこにも見当たらない。どうやら「双循環」は忘れ去られたようである。





その代わり、習政権は、中国経済の厳しさを率直に認めている。今年の「報告」では、(地球規模での「コロナ禍」で、世界経済回復への原動力不足と商品価格が高止まりする中)中国は「需要の縮小」・「供給体制への衝撃」・「マーケットへの期待の後退」という3重の圧力を受けているという。同国経済が行き詰まっている証左だろう。





けれども、習政権は(1)「鄧小平路線」を捨て、社会主義路線へ回帰し、(2)「第2文化大革命」を発動し、(3)「戦狼外交」を展開している。このような政治優先政策では、経済成長を期待できないのではないだろうか。





第3に、今年の「報告」で目立つのは、特に中小企業に対する減税、及び税の納付猶予政策である。





我が国同様、中国でも「コロナ禍」で、中小企業は厳しい経営を余儀なくされた。そこで、習政権は傷ついた中小企業を救済しようとして、減税や税の納付猶予を行っている。





この施策自体、重要かつ必須である。だが、中央政府の財政赤字は、GDPの300%以上あるという。その厳しい状況の中、北京が更に財政出動を強いられるならば、財政破綻寸前まで追い込まれるかもしれない。





第4に、目下、習政権は「4つの悪風」に取り組んでいる。(1)形式主義、(2)官僚主義、(3)享楽主義、(4)贅沢浪費の風潮である。





しかし、一党独裁下では、「整風」は困難だろう。周知の如く、中国共産党は、政権樹立以来、(基層レベル以外)一度も民主的選挙を行った事はない。また、中国には政府批判のできる独立したマスメディアも存在しない。これでは、「悪風」の改善する余地はゼロと言っても過言ではないだろう。





第5に、今回の「報告」では、女性や児童の誘拐・売買に言及している。最近、江蘇省徐州で、鎖で繋がれた子供8人の母親が“発見”された(それ以外にも、彼女と似た境遇の女性が“発見”されている)。これらの事件が念頭に置かれているのは明らかだろう。





注:(a)「李克強総理、政府活動報告を行う(本文要約)」





トップ写真:中国の習近平国家主席らが出席して行われた全国人民代表大会の開会式(2022年3月5日、中国・北京) 出典:Photo by Kevin Frayer/Getty Images




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