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9日の韓国大統領選に注目

Japan In-depth / 2022年3月9日 18時22分

 この数字は選挙管理委員会にも想定外だったようで、今年の期日前投票では一部混乱も見られたと聞く。背景には、コロナ感染拡大で有権者が投票日を分散したことに加え、各陣営ともに積極的に期日前投票を呼び掛けたことがあるらしいが、筆者が最も注目するのは韓国の若者の投票行動と投票率の高さである。 



写真)大統領選の期日前投票のため、投票所前に並ぶ韓国の有権者たち(2022年3月4日 ソウル)


出典)Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images


10年ほど前、韓国では「恋愛・結婚・出産」を放棄している若者たちを指す「三放世代(サムポセデ)」というスラングが生まれたが、今の20代、30代の若者はこれに「就職・マイホーム」を加えた「五放世代」、更には「人間関係・夢」まで放棄した「七放世代」とも呼ばれているそうだ。話半分にしてもこうした状況は危機的だ。 


これまで文在寅政権を支えてきたのは「386世代」、というのが筆者の理解だった。386世代とは1990年代に30代(3)で、1980年代(8)の民主化運動に関わった1960年代(6)生まれの者を指すが、その世代の人々も今や50代、60代になった。年齢的に見て、「七放世代」は「386世代」の娘、息子たちの世代なのかもしれない。 


これら新旧世代間には埋め難いギャップがある。「七放世代」に言わせれば、「自分たちの両親には多くの夢があり、それは実現可能だったが、今の自分たちにはそれが全くない。恋愛、結婚、出産は勿論のこと、就職、マイホーム、人間関係も夢も諦めざるを得ない」と感じ、その是正を政治に強く求めている、というのだ。 


現時点で結果を予測するのは控えるが、もし与党系候補が勝てば進歩系の「386世代」が今も政治的に健在であることを、もし野党系候補が勝てばより保守的で現実的な「七放世代」が新たな政治的影響力を持ち始めることを、示すのかもしれない。されば、今回の韓国大統領選挙は日本にとっても極めて重要な意味を持つだろう。 


ちなみに韓国の「386世代」は日本の「全共闘世代」に相当すると勝手に思っているが、「七放世代」に相当する動きは日本では未だ見られない。いや、単に顕在化していないだけで、日本にも「七放世代」は確実に存在するはずなのに。韓国の若者の意識が高いからなのか、それとも日本の若者が静かすぎるのか。投票日は9日だ。 


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