露のウクライナ侵攻を知っていた中国
Japan In-depth / 2022年3月11日 15時51分
澁谷 司
【まとめ】
・中国は、ロシアが北京五輪終了と同時にウクライナへ侵攻するのを知っていたと、米『ニューヨークタイムズ』紙が報じた。
・この情報は、米バイデン政権高官や欧州高官を情報源としているが、「反習近平派」が習主席を陥れるため最高機密を西側に流した公算がある。
・企図があるため中国は暗にロシアを支持していると思われるが、今まで中国の立ち位置がまだ微妙である。
今年(2022年)2月20日、北京冬季オリンピックが閉幕した。翌日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの東部2州の独立を承認している(この2州は、2014年、「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」として“独立”を宣言)。
画像)ウクライナの地図
出典)外務省海外安全ホームページ
3日後の24日、ロシアはウクライナに侵攻を開始した。プーチン大統領としては、両「共和国」の“独立”を承認したのち、予定通りの行動だったのではないだろうか。
さて、3月2日、米『ニューヨークタイムズ』紙は、中国がロシアにウクライナ侵攻を冬季オリンピック終了後まで延期するよう要請(a)していたと報じた。中国は、北京五輪終了と同時に、ロシアがウクライナへ侵攻するのを知っていたという。
同紙は、米バイデン政権高官や欧州高官を情報源としている。その情報は、米CIAや英MI6等が何らかの方法で入手したモノなのだろうか。もちろん、その可能性はゼロではない。だが、ひょっとして、中国内部から情報が漏洩した公算がある。
『阿波羅新聞』の李玉鏘論説委員は、「反習近平派」が習主席を陥れるため、今回、最高機密を西側に流したのではないか(b)と鋭く指摘した。無論、今秋の第20回党大会で、習総書記の3期目入りを阻止するためである。この指摘は、真実に近いのではないだろうか。
約10年前、『ニューヨークタイムズ』(2012年10月26日付)は、温家宝首相(当時)に関して、首相が指導部入りした後、一族が巨額の財産を蓄えている(c)と報じた。記事によれば、企業や関連の記録を検証したところ、首相の夫人を含む一部親族が、少なくとも27億米ドル(約3105億円)相当の資産を貯蓄していたと伝えている。
この内容を暴露したのが「江沢民派」(現在、実質的に曽慶紅が同派のトップ)だったという。今度も、その「江沢民派」が、西側に情報を流した可能性を排除できない。
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