キエフも陥落できぬロシア、北海道に攻め込む力なし
Japan In-depth / 2022年3月15日 7時0分
だから沿海州以東は日本経済に従属していた。中ソ対立から中国との協力は不可能である。頼みの綱は日本との交易、経済協力しかない。
例えば衣食住は沿岸貿易に依存していた。クレジットを設定した上で水産品や北洋材といった資源と日本の被服や履物、ミカンほかの果物、建築資材を物々交換する形である。
これは極東ソ連軍も例外ではない。例えばMig-23戦闘機が配置された択捉島の滑走路は日本製セメントで打設されていた。輸送力の限界からヨーロッパ・ロシア製のセメントを運ぶ余力はなかったのである。
自国の支援も及ばず日本頼りのソ連軍に対日上陸能力はない。それ以前に日本との積極的な戦争にも耐える力はなかったのである。
それからすれば北方領土のソ連軍は全滅予定部隊であった。かつてのラバウルと同じ孤島の守備隊であり対日米戦では全滅必至の部隊であった。
■ 東アジアではアンダーパワー
ロシアは日本に力を及ぼす能力はないのである。北海道への侵攻は昔も今も可能な選択肢ではない。
そもそも東アジアでは地域大国とは言えない。経済先進国である米国、中国、日本、韓国に対しては劣後している。ロシアGDPは韓国GDPよりも低い。軍事力でもそうだ。いまのロシア極東には北朝鮮ほどの戦争能力も期待できない。
もちろん、欧州ではスーパーパワーかもしれない。ロシアの重心はヨーロッパにある。経済的にも軍事的にも、さらには政治的にも大国としてふるまう余地はある。
ただ、東アジアでは水準以下となる。1950年代後半には日本に力負けしている。1990年以降に中国、韓国、台湾地区が力を伸ばしたあとにはアンダーパワーでしかない。
■ 半ヶ師団で充分
北方脅威論、北海道増強論、陸自増勢論は取るに足らない空論だということだ。その内実は漠然としたロシアへの警戒感と尻馬に乗る陸自の組織防衛だけである。
むしろ害悪である。最優先の対中対峙の足を引っ張ってしまう。
北方は今以上に削減してよい。北海道の陸上戦力は今でも過剰である。
まずは1/6に減らしてもよい。日露戦争期でも北海道には半ヶ師団の第7師団しか置かなかった。今の2ヶ師団+2ヶ旅団からすれば1/6である。太平洋戦争でも末期までは1ヶ師団のみで済ませていた。
そうしても何も起きない。もともとロシアには日本を威脅する力はない。ウクライナ侵略に対して日本がロシアをいくら批難し制裁を加えても何もできない。北方領土に対地・対艦ミサイルを空輸して強がるのが関の山である。無視して非難制裁を続けてよい。
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