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危険な賭けに出たプーチン

Japan In-depth / 2022年3月16日 11時0分

危険な賭けに出たプーチン




宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)





「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2022#11」





2022年3月14-20日 





【まとめ】





・プーチンは本気で「ダブルダウン=大きなリスクを取った賭け」を始めたのではないか。





・中国はロシアに恩を売る一方、ウクライナとロシア、米露の仲介に乗り出し、米中協力関係の復活に結び付けたいのだろう。





・米側は、対中露の情報戦で先手を打ち、中国がロシアに実施する可能性がある支援に関して懸念を伝達し、自重するよう求めた。





 





先週は英語化した仏語「デジャヴュ(既視感)」について書いたが、今週は「ダブルダウン」なる英語表現をご紹介する。





米国では政治交渉などに関する評論で最近流行の言葉だ。元々はブラックジャックのルールだから、カジノ用語らしい。日本カジノスクールの公式サイトには、「ダブルダウン」について次のような説明があった。





●ダブル・ダウン(Double Down)





カジノのブラックジャックで最初に配られた2枚のカードから、あと一枚だけ引くことを条件に、賭け金を最大2倍にまで増やせるルール。・・・積極果敢にやりたいところですが、賭けているカジノチップに追加する必要があるので、持っている資産との相談が必要・・・。





これが転じて「危険な賭けに出る。賭けを倍増する。リスクを取って投資を増やす。状況を一切顧みることなく、渦中の人間が世間・メディアに対してダメ押しする」といった意味で使われる。





これって、今プーチン大統領がやっている「倍返し」ではないかね。そう言えば、CNNで識者がよくPutin doubled downなどとコメントしていたなぁ。





 先週は、「ウクライナは大善戦、キエフも未だ陥落していない。ロシア軍優勢は強まるだろうが、当面戦況は膠着状態にある」と書いたが、状況は徐々に変わり、今週あたりからプーチンは本気で「ダブルダウン」を始めたのではないか、そんな懸念がある。正に「大きなリスクを取った賭け」だと思うのだが、果たして「勝機」はあるのか。





懸念といえば、先週書いた「デジャヴュ(既視感)」も同様だ。現状は2001年の同時多発テロ後、対中懸念を深めていた当時のブッシュ政権が米中関係の舵を「対立」から「協力」に切った状況に似ていないか、という話だった。今週もそうした懸念を一層深めるような中国の動きが見られ、ちょっと気になっている。





14日付ワシントン発ロイターは「中国がロシア側の要請に応じて、ウクライナでの紛争支援に向けロシアに軍事的・経済的援助を行う意思を示したと米国が北大西洋条約機構(NATO)およびアジア諸国の同盟国に伝えたことが米高官の話で分かった。・・・中国側は計画があることを認めないことが予想される」などと報じた。





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