周辺国の属国化狙うプーチンの異常
Japan In-depth / 2022年3月19日 23時0分
嶌信彦(ジャーナリスト)
「嶌信彦の鳥・虫・歴史の目」
【まとめ】
・露のウクライナ侵攻に、ジュネーブ条約や国連憲章、国際法、IAEA憲章などに反するとして世界から非難続出。
・露はウクライナの中立化と非武装化を求めているがウクライナは拒否。
・プーチンはソ連邦解体後にソ連から離脱した周辺国を再び統合して大ソ連邦を夢見ている。
ウクライナを攻撃しているロシアの大統領・プーチンの異常さが目立ってきた。ウクライナの欧州最大規模のザポロジェ原発を攻撃し制圧。病院、学校、一般住宅を爆撃し死傷者を生み出し、燃料気化爆弾やクラスター爆弾の使用なども実施しているという。ジュネーブ条約や国連憲章、国際法、IAEA(国際原子力機関)憲章などに反するとして世界から非難が続出している。
プーチンは「ウクライナは核兵器を取得して核保有国の地位を得ようとしており見過ごすわけにはいかない」とウクライナ攻撃を正当化している。しかし、ロシアはウクライナの病院や複数の学校、一般住宅などを攻撃し、国際人権団体ではこうした無差別攻撃はジュネーブ条約やオスロ条約などに違反しているとして中止を求めている。
国際司法裁判所(ICJ)や国際刑事裁判所(ICC)はロシアの攻撃は戦争犯罪にあたるとして審理を開始しているが、ロシアは欠席し、まったく耳を傾けようとしていない。プーチンはロシアで諜報を主任務とするKGBで一貫して勤務してきた。敵対国の転覆などの謀略で人生を過ごしてきた人物だ。それだけにウクライナをロシアの統治下におくことを狙いとしており、国際法違反などを無視することを何とも思っていない。まさに目的を達するためには手段を選ばないやり方なのだ。
■ロシアは国際法造反で攻撃―ウクライナの属国化に血道を上げる―
ウクライナとロシアは交戦を一時停止して住民を安全な場所に移動させる「人道回廊」を設ける話合いを行なっているが、この交渉中もロシアはウクライナ攻撃をやめておらず、人道回廊の到着先を当初は臆面もなくロシア国内に設定した。
ウクライナ側は当然ながら反発し、話合いを続けていたが、3月14日に10ルートを設置することでロシア側と合意した。プーチン・ロシア大統領には人道的発想などはなく、いかにウクライナを欧州側に寄せ付けず、ロシアの支配下に置くかという視点で抑え込もうとしているのが実情なのだ。
ロシアによるウクライナ侵攻は、東部、北部、西部からだけでなく南部からも始まり、ミサイル、戦車などを投入している。首都キエフは包囲され陥落寸前で、民間人の死者が2000人以上となっている。ウクライナがNATOに加盟していれば、加盟国への攻撃は全NATOへの攻撃と受け止めNATO全体で対ロシア戦線に介入できるが、ウクライナだけでなくロシア西南部のモルドバ・北西部のフィンランドとスウェーデンなども未加盟でロシアの侵攻に戦々恐々としている。
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