日本外交の診断 兼原元国家安全保障局次長と語る その2 中国への忖度は効果なし
Japan In-depth / 2022年3月27日 12時3分
最近、清末の三大思想家の一人である康有為(こうゆうい)の『大同書』を読みました。仁や不忍の心を基盤としたユートピアをつくるという大同団結論ですが、同時に彼は20世紀前半の弱肉強食の国際政治を嘆き、そのうち黒色人種は絶滅して、白色人種と黄色人種だけが生き残るなどとも書いています。国際社会では、強くなければ滅ぼされる、逆に強ければ何をしてもいい、という考え方は欧州権力政治そのものであり、19世紀の帝国主義国家の発想です。しかし清朝滅亡後、内乱、戦争、独裁しか知らない中国人の「強国思想」には、今もこの弱肉強食の発想が根強く残っています。
古森 逆に自分たちが強くなれば、劣等民族を服従させるのは当然、絶滅させてもいいんだと思っているのではありませんか。中国には年来、「小さい日本(シヤオリーベン)」という侮蔑(ぶべつ)用語があるように、強くなった中国は日本を支配する野心を隠そうとしていません。
(その3につづく。その1)
**この対談は月刊雑誌WILLの2022年4月号からの転載です。
トップ写真:南京で開催された国立記念日で大学生が南京大虐殺の犠牲者を悼む(2020年12月9日、中国・江蘇省) 出典:Photo by TPG/Getty Images
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