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米・ベネズエラ関係“雪解け説”も ウクライナ戦争が背景に

Japan In-depth / 2022年3月28日 18時0分

だが、中南米のメディアの間ではロシアとベネズエラの友好関係の基盤はみかけほど強固ではないとの見方があり、欧米各国の対露制裁によってベネズエラはロシアの有力銀行に預けている原油輸出代金の確保が困難になっているため「マドゥロ大統領は従来の親ロシア外交を再考し始めている」(メキシコ外交筋)との憶測も流れている。こうした情報は米国もつかんでいるはずで、バイデン政権がベネズエラにロシアからの離反を求めたのは、そのためだとの説もある。





■ 関係改善への転換点の可能性も





会談の目的がどうであれ、久方ぶりに米国とベネズエラの間でハイレベルの対話が行われた点は注目に値する。米メディアによれば、トランプ前政権下でも双方の高官レベルの秘密接触があったが、今回のようにきちんとした形で話し合いが行われたのは5年ぶりだという。





今度の会談が米・ベネズエラ関係の重要な転換点になる可能性を指摘する向きも多い。ベネズエラ情勢に関してバイデン大統領は、軍事オプションもちらつかせたトランプ前大統領とは異なり、政治解決による平和的政権移行を呼びかけてきた。その一方、厳しい制裁を継続し、マドゥロ大統領に対抗する野党指導者のグアイド氏への支持を表明している。





マドゥロ政権の人権弾圧を非難し、その違法性を糾弾しているバイデン政権が今回、本格的な対話に乗り出し、条件付きながらも制裁緩和策を提案したとするなら、「対ベネズエラ戦略の転換」といった見方が出ても不思議ではない。中南米のメディアの中には早くも、両国関係の「雪解けが始まる」(アルゼンチン有力紙)といった論調も見られる。複数の中南米問題専門家はゴンサレス上級部長が最近、一部米誌とのインタビューで「バイデン政権はマドゥロ政権打倒ではなく同政権との交渉に力を注ぐ」旨を表明した重要性を強調する。





米国務省高官は「現在のベネズエラに対する制裁は完全に有効である」と述べ、バイデン政権の対ベネズエラ戦略に変わりがないとしながらも、マドゥロ政権との対話を続ける方針を示している。両国関係改善への道が開かれるかどうかはマドゥロ大統領の出方にかかっているとの見方が専ら。同大統領は3月初めの会談直後、拘束していた米国人2人を釈放し、米側に譲歩する姿勢を見せた。





当面の焦点は、昨年10月に中断したマドゥロ政権とグアイド氏ら野党との交渉が、米国の要求通りに再開されるかどうかだ。同交渉の行方が両国関係の“雪解け”を見極める重要な判断材料になりそうだ。(了)





トップ写真:2021年のベネズエラ地方選挙で話すマドゥロ大統領 出典:Photo by Manaure Quintero/Getty Images




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