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外国人義勇兵について 「プーチンの戦争」をめぐって その5

Japan In-depth / 2022年3月29日 7時0分

要するに、外国政府が義勇兵を募集し、日本人がそれに応じることなど、最初から想定されていない。それ以前に、この法律に触れるか否かが、問題の核心ではないと私は考える。





もしも日本政府が、義勇兵としてウクライナに赴く人の渡航費を負担したら、それは日本が義勇軍を派遣した、ということになるのである。第二次世界大戦中の独ソ戦においても、フランコ総統率いるスペインのファシスト政権は、中立を標榜していたにもかかわらず、反共の大義のためとして義勇軍を派遣した。義勇兵と義勇軍は似て非なる概念であるということが、これでお分かりいただけたであろうか。





以前、これも橋下氏がらみの「ヒトラー発言問題」を取り上げた際にも感じたことだが、日本の弁護士というのは、軍事とか戦時国際法について、ほとんど勉強していないようだ。





日本がウクライナに義勇軍を派遣したとなったら、ロシアに対して宣戦布告なき戦争を仕掛けたも同然である。





善意に解釈すれば、このツイートは「口先参戦」する政治家たちに対しての、彼一流の諧謔なのだろうが、それにしても、ものには限度ということがあるのではないか。





戦時国際法がらみでは、こういう問題もある。





報道によれば、募集開始からわずか1週間後の3月6日までに、50カ国以上から2万人を超す応募があり、この原稿を書いている26日の段階では、すでに多くがウクライナに到着している模様だ。





問題というのは、3月7日にロシア軍側が、外国人義勇兵については「ジュネーヴ条約に規定された戦時捕虜としては扱わない」と発表したことである。





ジュネーヴ条約とは、1864年に赤十字国際委員会の提唱により、戦時捕虜に対する扱いを人道的にするべき、との趣旨で、その名の通りスイスのジュネーヴにおいて調印された。日本語での正訳は「負傷者の状態改善に関する第1回赤十字条約」とされている。





もう少し具体的に述べると、ジュネーヴ第三条約もしくは「捕虜の待遇に関する千九百四十九八月十二日のジュネーヴ条約」において、投降したり負傷して動けなくなった敵兵の身柄を確保した場合、給食や医療を与えること、また収容する施設においては拷問などの行為を禁止することなどが定められているわけだ。そして、ここで言う敵兵とは、





「紛争当事国の軍隊の構成員及びその軍隊の一部をなす民兵隊及び義勇隊の構成員」





と明確に定義されている(第4条A-1)。





とどのつまりロシアは、今次の戦争においてジュネーヴ条約を遵守する考えすらない、と言い放ったに等しいので、そのようなロシア軍に捕らえられた義勇兵の運命は、考えるだけでも恐ろしい。









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