習近平政権の抱える問題点
Japan In-depth / 2022年4月17日 18時13分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・習近平主席は、第20回党大会で、習政権3期目を目指すが、党内の反発が強い。
・ウクライナ危機で、貿易面やエネルギー安全保障面で大きな打撃を受ける中国経済。
・李克強首相は、習政権の「ゼロコロナ政策」に相反する立場を示している。
今年(2022年)秋、中国共産党は第20回党大会を控えている。仮に、習近平主席が総書記に三選されれば、習政権3期目に突入する。だが、党内では、それへの反発が強い。
本稿では、今、習近平政権が抱えている問題点について取り上げてみよう。
まず、(1)「ウクライナ危機」である。ロシア・ウクライナ戦争に対し、中国がロシアへの軍事支援等を行うのか否か、世界から注視されている。
次に、(2)習近平政権の「ゼロコロナ政策」と政権内部の葛藤である。同政権は「ゼロコロナ政策」を掲げているが、それが上手く行っていない。
さらに、(3)習近平政権は、崩壊間際と言われる不動産バブルをどのように処理するかだろう。ただし、この件に関しては、別稿に譲りたい。
本稿では、(1)と(2)について詳述しよう。
まず、(1)「ウクライナ危機」である。ここでは『ヒンドスタン・タイムズ』に掲載された「終わらないウクライナ戦争は習主席にトラブルをもたらす」(2022年4月7日付)(a)というシシル・グプタの論考を紹介したい。
グプタは以下のように主張する。
ロシア軍が40日間にわたるウクライナ侵攻後、首都キーウ(キエフ)を占領できなかったことは、プーチン大統領だけでなく、習近平主席にとっても、国内に影響を及ぼすだろう。その理由は、次の通りである。
第1に、中国は世界最大の貿易国であり、ウクライナでの長期にわたる戦争は、海運、陸運、航空、港湾、保険、再保険に至るまで、広範囲に影響を及ぼし、世界貿易全体を揺るがす。
第2に、中国はエネルギー安全保障体制が脆弱であり、インドと同様、経済活動のため輸入炭化水素(石油や天然ガス等)に依存している。戦争とそれに伴う世界的な石油価格の上昇は、中国経済に大きな打撃を与えるだろう。
第3に、ウクライナはNATOから戦術的、技術的な支援を受けて戦っているが、そこで、中国は台湾侵攻を再考するだろう。ウクライナからのメッセージは明らかである。米国とその同盟国は、解放軍による台湾への侵攻を撃退するために力を尽くすだろう。
第4に、これまでのロシア・ウクライナ戦争の最大の教訓は、ロシアのハードウェアは技術的に古く、スティンガーやジャベリンのような西側の兵器、また武装ドローン、空中監視とは比較にならないという点である。
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