極右ルペン氏躍進、左派衰退 異例づくしの仏大統領選
Japan In-depth / 2022年4月26日 9時48分
Ulala(著述家)
「フランスUlalaの視点」
【まとめ】
・マクロン氏再選は20年ぶり快挙だが、敗北したルペン氏は自身の躍進を「めざましい勝利」と表明。
・左派が強いことで知られるフランスで、左派の衰退ぶりがきわだつ。
・フランス大統領は連続2期まで。ルペン氏が次を制するか、今後の5年間は重要。
フランス大統領選の決選投票が4月24日に行われた。その結果、現職の中道マクロン大統領が極右政党「国民連合(RN)」のルペン候補をやぶり、再選を果たした。結果は事前のアンケート結果とそれほど変わりなく、予測されていた通りのマクロン氏の勝利だったものの、マクロン氏58.54%、ルペン氏41.46%となり、2017年時には66.1%対33.9%とダブルスコアだったものが、今回の決戦ではルペン氏が大きく票を伸ばし、差を縮める結果となった。
フランスで大統領が再選されるのはジャック・シラク氏以来
フランス大統領が再選され2期目を迎えるのは、1995年〜2007年まで大統領を務めたジャック・シラク氏以来のこと。シラク氏が再選された2002年以来、20年ぶりとなる。
写真)ジャック・シラク大統領(2002年10月20日)
出典)Photo by Leila Gorchev-Pool/Getty Images
今回の選挙戦の特徴的な点は、ロシアによるウクライナ侵略が行われている最中に行われたことである。選挙戦では内政問題に加え、欧州連合(EU)に賛成か反対か、エネルギーの調達や産業について自立していけるようにするか、このまま外国に依存するか、そして戦争の影響による物価高騰対策などが大きな争点となった。
マクロン氏はこれまでドイツとともにEUを支えてきたが、ルペン氏はEUを批判してきたため、ルペン氏が大統領になった場合はEUが空中分解する可能性もあると不安視されていた。そのため、EUの主要国ドイツ、ポルトガル、スペインの3か国首相が、フランスの有権者に対し、大統領選の決選投票でマクロン氏に投票するよう呼び掛けるという異例のことも起こっていたのだ。
また、マクロン氏がエネルギーの自立を目指すのに対し、ルペン氏はロシアが中国に近づくことを避けるためとしてロシアからのガスの輸入を継続するとしていた。以前から、ルペン氏とロシアの距離は近く、ルペン氏が過去にロシアから選挙資金を借りていたことも発覚し、ウクライナでの戦争が始まってからこの件に関して批判の的にもなっている。そのため、ウクライナのゼレンスキー大統領も、2回目投票の前に行われたインタヴューで、ルペン氏の親ロシアの立場について「誤り」との認識を示し、マクロン氏の再選を願っていた。
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