極右ルペン氏躍進、左派衰退 異例づくしの仏大統領選
Japan In-depth / 2022年4月26日 9時48分
このように、マクロン氏の再選はフランス国外からも大きく望まれていた状態であったと言えるのだ。
しかしながら、今回、多くの人に望まれてマクロン氏が再選したものの、ルペン氏が大きく票を伸ばしたことも間違いない。
ルペン氏の躍進
今回、ルペン氏は敗北したとはいうものの、2017年には33.9%にとどまっていた得票率を今回は41.46%まで伸ばした。
写真)大統領選に敗れたものの躍進したルペン氏(2022年4月24日 パリ)
出典)Photo by Thierry Chesnot/Getty Images
2017年の敗北からこの5年間、ルペン氏は、人種差別的な過激な発言が多かった父親のジャン=マリー・ル・ペン氏の影響を薄めるためと、支持層を広げるために党名を変更して、「脱悪魔化」と呼ばれるソフト路線に切り替え、「庶民派」をアピールしてきた。そして、前回の大きな敗因となったマクロン氏との討論会に向けて十分に準備をしてきたのだ。それらの努力が、今回の結果に結びついたことは間違いない。
大統領選の結果が出た後の慣例では、まず敗者が勝者を祝う電話をかけ、敗北演説をしたあと勝者が演説する流れとなっており、ルペン氏もその慣例にしたがった。敗北が分かると、ルペン氏はすぐにマクロン氏に電話をかけた。そして、その後、支持者の前に姿を現し敗北の演説をしたのだ。
そこで、ルペン氏はこう述べた。
「今回の結果はめざましい勝利だ」
と。
ここまで票をのばせたことは、彼女にとって大きな躍進だったことは間違いない。そして、今後はマクロン政権に対し主要な野党として対峙していく姿勢を力強く示したのだ。
フランスの今後
2022年の大統領選挙は、時代が大きく変わったことを思い知らされるものでもあった。
まず、左派の大きな敗北。それでも、第一回選挙では、左派のジャンリュック・メランション氏がルペン氏と1ポイントに迫る勢いを見せたため、最終的には左派、右派、中道が揃う形となったが、左派が強いことでも有名なフランスだったのにもかかわらず、左派の衰退ぶりがきわだった。
また、鳴り物入りで登場した中道右派共和党の大統領候補バレリー・ペクレス氏が第一回投票では5%にも届かないなど、過去に政権を担ってきた中道の左右の2大政党の大惨敗ぶりが著しいものとなった。これは歴史的出来事とも言え、両党の終幕の可能性さえ示しているといえる。時代が変化している証ともいえるかもしれない。
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