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上海市のロックダウンと天津市長の死

Japan In-depth / 2022年5月5日 12時55分

仮に、これが事実だとすれば、4月30日末の時点で、少なくてもおよそ9000人の市民がコロナ死した計算になるだろう。


一部の評論家は、習近平政権による上海市に対する冷厳なロックダウンは、江沢民系「上海閥」を壊滅させるために実施した(h)と評している。けれども、北京市でも上海市同様、厳格なロックダウンが行われている。だから、そうとも言い切れないのではないか。


ところで、4月27日、天津市長(天津市ナンバー2)、廖国勲が病死したと伝えられた。しかし、本当は、中央紀律検査委員会が廖市長に対し厳しい取り調べを行ったために自殺した(i)という。


 実は、この廖市長は、中国共産党ナンバー3栗戦書(「習近平派」)の元部下だった。趙楽際・中央紀律検査委員会書記が、栗戦書の腐敗スキャンダルをターゲットにして、廖市長を締め上げようと目論んだとの憶測も可能だ。



写真)中国・北京の人民大会堂で行われた2022年北京冬季オリンピック・パラリンピックへの貢献を称える式典で演説した後、李克強首相(右)隣で拍手する中国の習近平国家主席。 2022年4月8日 中国・北京


出典)Photo by Kevin Frayer/Getty Images


 現時点で、李克強首相を中心とする国務院「実務派」(経済優先)と趙楽際をトップとする中央紀律検査委員会が、「習近平派」に対抗している(j)と考えられる。


 習政権が「ゼロコロナ政策」にこだわる理由は、「習派」に歯向かう「反習派」をあぶり出すためではないか。したがって、今秋の第20回党大会で習主席が第3期目の総書記に就任するまで「ゼロコロナ政策」は継続されるかもしれない。


(注)


(a)(2022上海晚春(我们的生活TheLifeofOurs))


(b)『時刻新聞』「上海では、飢えと助けがないため、ビルから何人も飛び降り自殺している 蘇州の財源は疫病との戦いで枯渇している」(2022年4月28日付)


(c)『(DW)ドイツの声』「上海、『外国勢力』介入疑惑に抗議して鍋をたたく 北京はメーデーを祝う」(2022年4月29日付)。


(d)『時刻新聞』


「上海嘉定区で大規模な抗議デモ、住民委員会が野菜を隠して物資を盗む」(2022年4月28日付)。


(e)『中国瞭望』「上海人口本籍統計:上海は一体誰のための上海か?」(2022年4月22日付)。


(f)『中国瞭望』「上海、『1000万人が上海を離れる』という噂を再び否定 評論は再び手のひら返し」(2022年4月30日付)。


(g)『六度網』「国家機密か?上海の葬儀場、恐ろしい数字を公開 北京緊急事態」


(2022年4月23日付)。


(h)何清漣「これが中国の『ゼロコロナ』にこだわる原因である」『中国瞭望』(2022年5月1日付)。


(i)『中国新聞センター』「天津市長の廖国勲の自殺原因が明らかに 栗戦書が単独で天津市長に斡旋 中央紀律検査委員会が栗戦書の腐敗を調査」


(2022年4月29日付)。


(j)『VOA』「初の民主化大作戦、習近平の三選は必至か?」(2022年5月1日付)。


トップ写真)住宅街でCovid-19の検査を受ける少女。 2022年4月22日 中国・上海


出典)Photo by Getty Images/Getty Images


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