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仏、高級高齢者施設「虐待スキャンダル」

Japan In-depth / 2022年5月10日 18時0分

約250件に上る苦情の内容





暴露本が出てから居住者の家族から多くの被害が語られたが、実はそれ以前からも被害者からの苦情が寄せられていた。





オルペアの部屋は、確かに部屋は清潔で明るい。しかし、ある日、ジョン・ジャックさんが妻のコレットさんの部屋を訪れた際、額に大きなこぶがあることに気が付いた。直感的に彼女が倒れたのに違いないと思って聞いたが、そのことに誰も気が付かなかったと言われた。しかも、数日前は頭をまっすぐにしていたのに、その日は前に傾けたままで何かおかしかった。そのことをいうと、斜頸に違いないと言われたが納得できなかったという。





彼によれば、高齢者介護施設の買収などで人手不足になり、入居者のケアが低下したそうだ。実際、調査によれば、現在、施設のフロアごとに3人の介護者がいるが、以前は、2階のフロアの42人に対して介護者は5人、1階には42人に対して4人の介護者がいたという。





他の証言の中には、複雑骨折して病院に運ばれ、病院で「もう二度とその施設には戻さない方がいい」と言われた例もある。しかも、なぜそのような骨折に至ったかのかもわからずじまいだ。





アルザスの介護施設では、「(入居している配偶者が)廊下に一人で座っており、その手は排泄物にまみれていた」という苦情もあった。





また、オルペアの施設では、オムツは最大一日3枚と決められていた。それは、入居者が病気であるかないかとは関係ない。食事が冷たい場合もあり、そのような施設に高額な入居料を払っていたことに怒りを感じる家族も多かったのだ。





調査結果





フランス政府はこのような状況を受けて、IGAS(社会問題監察総局)とIGF(財務監察総局)が調査をし、3月25日にその結論が政府に提出された。その結果、ブルギニョン自立担当相は、オルペアについて「重大な機能不全」が、人事管理と施設の運営と財務会計にあったと発表し、司法当局に提訴したのだ。









▲写真 オルペア社を司法当局に提訴したブルギニョン自立担当相(写真は2020年7月7日、エリゼ宮) 出典:Photo by Antoine Gyori /Corbis via Getty Images





その後4月5日には、オルペアの虐待行為に関する報告書が発表された。特定の入居者の脱水症状や、栄養失調など、いくつかの側面が指摘された。そこには、提供されるたんぱく質食品の量は基準を大きく下回っていたことも書かれている。





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