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陰謀説の危険 その2 反ユダヤ主義の原典

Japan In-depth / 2022年5月15日 13時32分

陰謀説の危険 その2 反ユダヤ主義の原典


古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)


「古森義久の内外透視」







【まとめ】





・「シオン賢者の議定書」はユダヤ民族が世界征服を計画しているとの陰謀説を広めた。





・ヒトラーはこの「議定書」を引用し、ユダヤ人と共産主義者が世界支配の陰謀を画策していると主張した。





・国際的にはこの文書が偽造であり、それを根拠にしたユダヤ批判はすべて陰謀説だと判断されるようになった。





 陰謀説はすでに述べたように長い歴史を有する。





 歴史的に悪名の高い陰謀説の実例をまず2つ、紹介しておこう。正確には陰謀説を生んだ偽文書の実例である。





 第一は「シオン賢者の議定書」である。この偽文書は世界の多くの諸国でのユダヤ陰謀説の根拠とされた。





同文書は1890年代からロシアで登場し、西欧にもすぐに広まった。内容はユダヤ民族が世界征服を計画しているという趣旨だった。いわゆるユダヤ陰謀説である。やがて偽造文書だと判明した。だがヨーロッパでのユダヤ民族への警戒や敵対を高めるという実際の効果があった。近代では全世界で反ユダヤ主義、根拠のない「ユダヤが世界の支配を図る」という陰謀説の最も広範な流布の道具となった偽文書だといえる。





シオンとは英語でZionと表記され、本来のヘブライ語ではユダヤやイスラエルを指す。





「シオン賢者の議定書」という文書の一部は1903年に明確な形でロシアの新聞に連載された。そしてヨーロッパの他の諸国にもそれぞれの国の言語に訳され、広まっていった。その内容はユダヤの賢人とされる指導者たちが会議を開き、その場で決めたとされることを「議定書」として列記していた。





内容の主体はユダヤ民族が全世界的に、経済を支配し、政治を動かし、メディアをも統制して、宗教対立をあおり、ひそかに世界の制覇を目指す、という秘密作戦だった。その作戦を24章の議定書なる文書でまとめていた。要するにユダヤ勢力が既存の主権国家を侵食する形でひそかに支配を進めるという趣旨だった。





この「議定書」はその後、アメリカやアラブ、アジア、日本にまで各国の言葉に翻訳されて伝わっていった。アメリカでは1920年に自動車王とされたヘンリー・フォードの所有した新聞などでその内容が詳しく報道された。





だが歴史上、最も苛酷な形でこの偽の「議定書」を悪用したのはドイツのナチス政権だった。





ナチスの独裁指導者ヒトラーにこの「議定書」に基づくユダヤ民族危険論を最初に植えつけたのはアルフレッド・ ローゼンバーグという人物だったとされる。1920年代、ヒトラーが独自の世界観を形成し始めたころだったという。





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