コロナ感染爆発で金正恩体制痛手
Japan In-depth / 2022年5月17日 11時0分
だが一方で、金日成誕生110周年に何らの贈り物も出せなかった金正恩への不満の高まりを抑え込む策略だとの見方も根強い。危機意識を高めた金正恩が、コロナウイルスの拡散を口実に住民統制を一段と強化しようとしているという見方も根強い。
北朝鮮では、毎年春から初夏にかけて春窮期に突入する。前年の収穫の蓄えが底をつき、人々が飢餓に苦しむ時期だ。合法、非合法の貿易や国内の商業活動が盛んに行われていた数年前なら、市場で食べ物を買い求め、乗り切ることもできた。しかし、新型コロナ拡散以降、状況は一変した。
北朝鮮政府が国境を封鎖し、貿易を停止させたために、食糧や農業に必要な物品などが外国から入ってこなくなり、この時期の食糧不足がより深刻化している。そして上昇傾向にある穀物価格が、人々をさらなる飢えへと追いやっている。韓国デイリーNKの内部情報筋によれば、巷では「6月までが危ない」「最大の危機だ」との声が上がっているという。
どちらにせよ、核ミサイル開発とともに金正恩の最大の業績とされてきた「コロナ防疫」が、いとも簡単に崩れ去ったのは、金正恩体制にとって極めて大きな痛手となることは間違いない。
トップ写真)北朝鮮に関するニュースを見る人々(2022年5月4日 韓国・ソウル)
出典)Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images
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