コロンビアで急進左派大統領が誕生か 中南米左翼化さらに進む可能性
Japan In-depth / 2022年5月17日 23時0分
山崎真二(時事通信社元外信部長)
【まとめ】
・南米コロンビアで今月末、大統領選が行われる。元左翼ゲリラのグスタボ・ペトロ氏が支持率トップ、他候補を大きくリード。
・ただ、第1回投票での過半数獲得は難しく、6月の決選投票に持ち込まれる公算大。それでもペトロ氏の勝利確実との見方が有力。
・急進左派のペトロ氏当選なら、同国の市場開放、自由貿易路線は後退へ。同時に中南米の左翼化傾向は一層進む見通し。
■中道右派候補と一騎打ちへ
5月29日に実施されるコロンビア大統領選には8人が立候補している。
有力候補とされるのは、かつて左翼ゲリラで、首都ボゴタ市長を務めた急進左派のグスタボ・ペトロ氏、同国第2の都市メデジン市の前市長で中道右派のフェデリコ・グティエレス氏、中道派の実業家のロドルフォ・エルナンデス氏、北西部アンティオキア県の元知事で中道左派のセルヒオ・ファハルド氏の4人。
5月10日実施されたコロンビアの有力調査会社の支持率調査によれば、ペトロ氏が40%でトップに立ち、2位のグティエレス氏の21%を大きく引き離している。このあとエルナンデス氏が12%、ファハルド氏が7%で続いている。
ボゴタの有力各紙によれば、過去数カ月、ペトロ氏が先頭に立ち、これをグティエレス氏が追う傾向が顕著になっており、事実上両候補の一騎打ちの形。コロンビア大統領選は有効投票の過半数を獲得した候補が出れば当選となるが、そうでない場合には上位2候補による決選投票が行われる。
ペトロ氏が断然優勢だが、過半数の票を獲得するのは難しく、決着は6月19日の決選投票に持ち込まれる公算大とされる。
■背景には貧困と社会格差への不満
同国では昨年、ドゥケ右派政権が増税を中心とする税制改革案を発表したことが発端となり、大規模な反政府デモが長期間発生した。
この背景には「コロナ禍で一層拡大した社会格差や貧困問題をめぐり国民の間で政府への強い批判と不満が渦巻いている」(国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会=ECLAC=の専門家)と指摘される。
こうした国民の不満をバックにぺトロ氏が歴代の右派政権の政策を厳しく批判していることが支持を集めている最大の要因のようだ。同氏は、貿易関税の引き上げ、労働市場の自由化反対、農地改革の実施などを公約に掲げるとともに環境問題を重視し、コロンビアの外貨収入の大半を占める石油・石炭の縮小、資源探査活動の中止を主張している。
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