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「人民日報」異例の李首相厚遇紙面

Japan In-depth / 2022年5月22日 23時8分

そこで、評論家の江森哲は、党メディア が20日前の李演説全文を掲載したのは、李首相に特別な待遇を与えたことを示すと喝破した。





「これは習近平政権誕生以来、極めて珍しい。この党機関紙のシグナルは、李首相の権力が増し、李の政治的地位と重要性が浮き彫りになったのでは」と分析している。





江森哲によると、中国官界には「人がいなくなると、お茶は冷めてしまう」という俚諺(りげん)があって、定年を控えた官僚におべっかを使う人はいないという。





党幹部や党メディアは皆、政治に敏感なので、おそらく上から何らかのメッセージを受け、事前に政治的シグナルを発したのだろう。





そこで、『人民日報』は率先して李克強首相の“ご機嫌取り”を行ったのかもしれない。李が来年3月首相を辞めても引退しないことを示唆したか、それとも、新リーダー就任の「前奏曲」を奏でたのか。





ところで、この「宮廷クーデター」発生に懐疑的な評論家がいる。彼らは、習近平主席が「軍を完全に掌握している」という前提に立つ。だが、果たしてそうだろうか。





第1に、確かに、毛沢東は「政権は銃口から生まれる」と言った。けれども、元来、人民解放軍は、決して「国軍」ではない。あくまでも「党軍」である。見方によっては、「私軍」だと言っても過言ではない。





2012年3月、将来を嘱望された薄熙来(重慶市トップ)が失脚した。いくつかの理由が考えられるが、同年2月、薄が第14集団軍を動かそうとした(d)のも、失脚の一因かもしれない。





当時、薄熙来は、中国の最高権力者、政治局常務委員ではなかった。それにもかかわらず、薄は軍を動かす事が可能だったのである。このように、普通、解放軍各部隊は、党幹部と密接な関係を持つ。









▲写真 中華人民共和国建国70周年を祝うパレード、習近平中国国家主席(2019年10月1日) 出典:Photo by Kevin Frayer/Getty Images





第2に、軍歴のない習近平主席は本当に人民解放軍を掌握しているのか。





かつて江沢民は、毛沢東や鄧小平とは違って軍歴を持たないので、賄賂を使って軍権を握ったと言われる。





2016年2月、習近平主席は「7大軍区」を「5大戦区」に再編した。しかし、習主席がいくら軍の編成替えを行い、また、各「戦区」トップの首を「習派」にすげ替えても、将校以外、大部分の軍人が未だ「江沢民派」が占めていると推測できよう。そのため、軍全部の部隊が、すべて習主席の命令に従うとは到底思えない。





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