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古都松江市、IT企業の「聖地」に 高岡発ニッポン再興 その8

Japan In-depth / 2022年5月24日 23時0分

古都松江市、IT企業の「聖地」に 高岡発ニッポン再興 その8




出町譲(高岡市議会議員・作家)





【まとめ】





・松江市は、若者の雇用の場を作るための「Rubyの聖地」へと生まれ変わった。





・同市では、産官学が共同してITを通した人材育成を行っている。





・このような健全な危機感こそが行政には必要である。





 





私はこの連載で、先日「第2の竹平政太郎」をつくろうと呼びかけました。高岡では、アルミニウムだけにこだわらず、新しい産業を起こす人が必要だと思ったのです。鋳物、アルミニウム、さらに次世代の産業が必要になる。私はそう実感しています。





その手掛かりを求めて先日、松江市を訪れました。この地は、30年前、時事通信松江支局の記者として赴任していたところです。その時の松江市の印象は「美しきまち」です。宍道湖の夕焼けにほれ込み、国宝松江城など、勇壮さに心打たれました。観光地だが、それほど知られていません。静かさが住む者にとって心地よかったのです。





人口20万人の古都は今、ITエンジニアから熱視線を浴びています。過去15年ほどで、IT企業40社ほどが進出しているのです。エンジニアも毎年20人ほどが移り住んでいます。





別の数字にも驚きました。令和2年度末のサテライトオフィスの開設状況では、松江市は堂々、全国4位となっているのです。松江を上回っているのは、新潟市、札幌市、仙台市の政令指定都市のみです。人口や財政規模を考えると、松江の突出ぶりには驚きます。ちなみに、私が市議会議員を務める、人口17万人の高岡市は1社だけです。





松江市にいったい何が起きたのでしょうか。





伏線となったのは、2005年の国勢調査でした。松江市の人口が初めて減ったのです。人口流出を防ぐため、新たな産業を生み出して、若者の雇用の場を作る。それが差し迫った課題となりました。





松江市役所の担当者は「松江市の基幹産業は観光です。しかし、人口流出を止めるには力不足。当時の市の担当者は、どのような政策が可能なのか、検討していました。その時、当時の部長が、まつもとゆきひろ氏(編集部注:国産プログラミング言語「Ruby」の開発者)が紹介されたある雑誌をもって、松浦正敬市長の部屋に駆け込み『Rubyの聖地』にしましょうと訴えたのです」と話す。





この言葉が号砲となりました。松江市は「Rubyの聖地」にするためのプロジェクトを始めたのです。









▲写真 松江オープンソースラボ(筆者提供)





IT企業の誘致に取り組み、その際、コミュニティーづくりと人材育成に力を注いだのです。まずは、IT業界の人たちの情報交換の場として、2006年に「松江オープンソースラボ」を開設しました。





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