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古都松江市、IT企業の「聖地」に 高岡発ニッポン再興 その8

Japan In-depth / 2022年5月24日 23時0分

JR松江駅前にあった市の遊休施設を改装したのです。この場で、ITエンジニアが企業の枠を超えて、つながる。共同で勉強会を開いたり、プロジェクトを検討しました。そこにRubyの生みの親、まつもと氏が顔を出すこともあります。





松江に進出したIT企業の社長によれば、顧客からの注文をさばききれないとき、IT企業同士が声を掛け合い、分担して仕事を請け負っているといいます。ライバル企業なのに、松江市では“ワンチーム”になっています。





松江市はまた、産官学で人材育成を強化しています。2007年から島根大学、08年から松江工業専門学校で、「Rubyプログラミング講座」を実施しています。講師は、まつもと氏やRuby開発に関わるエンジニアなどです。





さらに、16年からは、松江市内のすべての市立の中学校の技術・家庭科の授業で、Rubyを使った教材で授業を展開しています。20年からは、小学校でもRubyを用いた教材の利用が始まっています。小学校から大学まで、ITに精通した人材育成に力を注いでいるのです。









▲写真 松江市役所(筆者提供)





IT企業は人材確保が急務となっているが、こうした松江市の取り組みは次々に、新たなIT企業を呼び込む結果につながります。地元からエンジニアが供給されているからです。それが、冒頭にお伝えした、サテライトオフィスの誘致数に直結するのです。補助金などをぶら下げて、企業誘致するやり方とは一線を画しています。





松江市はテレワーク環境の整備にも力を注いでいます。光回線の高速通信網が市内をカバーしているのです。温泉地のホテルなどにもテレワーク用の部屋を次々に設けています。日本経済新聞の調査によれば、松江市のテレワーク環境は、全国で3位。人口10万人以上の285市区が対象となっています。





コロナ危機をきっかけに、サテライトオフィスの誘致やリモートワークは花盛りです。東京に住む人の中で、地方移住への関心も高まっています。





しかし、松江市はそれよりはるか以前に危機感を抱き、動いています。今回取材して、健全な危機感こそ、行政に求められていると、改めて痛感しました。





(その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7)





トップ写真:松江城(筆者提供)




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