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核抑止とはなにか 兼原元国家安全保障局次長と語る その3「日本を核で海底に沈める」?

Japan In-depth / 2022年5月27日 18時0分

核抑止とはなにか 兼原元国家安全保障局次長と語る その3「日本を核で海底に沈める」?


古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)


「古森義久の内外透視」





【まとめ】





・米国内の「核廃絶」の動きによって、米核抑止戦略に依存してきた日本は存亡の危機に直面している。





・台湾有事が起これば、高い確率で日本有事になる。





・核の傘が機能する確証がない日本政府は、アメリカに米軍基地を使わないようお願いするしかない。

















古森:アメリカ国防総省は2022年3月29日、バイデン政権になって初めて「核戦略見直し(NPR)」の概要を公表しました。バイデン氏は、核攻撃の抑止と報復が核使用の「唯一の目的」だと選挙戦での公約で宣言していましたが、今回のNPRには盛り込まなかった。この点は評価できますが、どうやって核の脅威を抑止するのか、具体的方策は盛り込まれていません。





 先述のように、既存の核抑止戦略は機能しなくなりつつあります。共和党やアメリカの軍事専門家の間では、核抑止戦略を根本から見直そうとする動きがありますが、バイデン政権・民主党は消極的です。





兼原:オバマ元大統領の「核なき世界」発言以降、アメリカでは「核廃絶」が一丁目一番地になっています。オバマ氏が「核の先制使用をやめようか」と言い始めたとき、私は官邸にいましたが、中国の通常兵力が巨大化を続けているのに何を言っているんだ、と思いました。それほどまでに、アメリカ国内の「核廃絶」を求める世論は強力なのです。






写真)マンハッタンで日本の原爆投下の73周年に因み核廃絶を訴える人々。2018年8月3日。


出典)Photo by Drew Angerer/Getty Images


古森:「核廃絶」の動きによって、アメリカの核抑止戦略に依存してきた日本は存亡の危機に直面しているわけです。この事実を、日本はもっと真剣に考えなければなりません。ただし核兵器を全廃しようという意見はアメリカ全体ではまだまだ少数派だといえます。


兼原:まったく同感です。日本はいま、世界でもっとも危険な核の谷間にいます。ウクライナ侵攻でわかったように、ロシアは小型核の先制使用を公言していますし、中国は米ロが中距離核戦力(INF)全廃条約によって手を縛られている間に、中距離核ミサイルの開発・配備を猛烈に進めました。さらに、北朝鮮も日本全土を射程にとらえた核ミサイルを保有しています。


 くわえて、宇宙空間やサイバー空間が直接の戦闘空間へと変貌(へんぼう)したことで、核抑止体制においてもっとも重要な偵察・指揮・通信システム自体が脆弱化しつつある。さらに、極超音速ミサイルの登場によって、核発射の探知から反撃までの時間が著しく短縮されつつあります。


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