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核抑止とはなにか 兼原元国家安全保障局次長と語る その4 日米の核ミサイルが北京や平壌を攻撃 

Japan In-depth / 2022年5月28日 11時0分

兼原:核協議は首脳レベルから始めるべきですが、中曽根康弘元首相を除いて、日米首脳会談で核問題が真剣に話し合われたことは一度もありません。誰とは言いませんが、「核のカの字も聞きたくない」という総理もいました。





古森:そんななか、安倍晋三元首相は、「(核シェアリングの)議論をタブー視してはならない」と発言しました。安倍氏の発言を受け、アメリカの新聞界で最大部数を誇るウォール・ストリート・ジャーナルの社説(3月2日付)では、「習近平主席は、ウクライナに関するプーチン大統領への協力が、まさか日本の核武装の可能性をもたらすとは想像もしなかっただろう」と、安倍氏の提案が中国抑止に効用があることを強調しました。つまり、日本で核シェアリングや核武装の議論が深まれば、中国は核の恫喝をできなくなるということです。





兼原:中国に圧力がかかれば、中国は北朝鮮に対しても「日本を挑発するな」と警告するでしょう。





古森:日本の拉致問題の被害者代表たちがワシントンを訪れ、主要議員らに会ったとき、ある下院議員は「北朝鮮の核武装を防ぐ最善の手段は日本の核武装だ」と述べました。日本の核武装の動きをもっともいやがるのは中国であり、そんな動きが現実になれば、中国は必死で北朝鮮の核武装を止めさせて、日本への核の脅威を取り除くだろう、という理屈でした。





兼原:アメリカ側には確かにそういう発想もありますね。





古森:アメリカの一部の保守系上下両院議員たちの間では、日本核武装容認論が存在します。インドやパキスタン、北朝鮮の核武装が現実となったのだから、この三国に比べれば、日本は成熟した民主主義国家であり、アメリカの同盟国でもあります。だから日本が核を持ってもいいのではないか、という思考です。ただしアメリカの政府はそうは考えません。





 1980年代にアメリカ空軍のジョン・エンディコット大佐が書いた「日本の核のオプション(選択肢)」という論文が発表されました。日本ではあまり話題になりませんでしたが、同論文では冷戦期の日本においてアメリカの「核の傘」がなくなった場合が想定され、ソ連が日本に核の恫喝をかければ、日本は全面降伏する以外には対応がなくなる。そんな破滅的事態を避けるためには日本はモスクワを直撃する核を潜水艦に搭載するしか生き残る方法はない、と書かれています。





兼原:モスクワを直撃するには、射程5000キロ以上の核ミサイルを搭載した潜水艦をアラビア海に配備すればいい。





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