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英米は「第二のシリア化」を憂えている 気になるプーチン政権の「余命」その4

Japan In-depth / 2022年5月28日 18時0分

昨今は兵器の近代化にともなって、編成単位の人数は少なく、言い換えれば部隊がコンパクト化する傾向にあるが、伝統的な歩兵部隊の基準で言うなら、800名はたしかに一個大隊規模で、1500名ならば連隊規模だ。





いずれにせよ、これらは単なる俗称で、正式名称は「アゾフ特殊作戦分遣隊」であり、ウクライナ国家親衛隊の東部作戦司令部第12特務旅団の麾下にある。





国家親衛隊、という名称自体、冒頭でも述べたように日本ではあまり耳慣れないが、実はソ連邦の時代から、一部のエリート部隊を正規軍とは別に政府直属として、親衛隊と称していた。装備や給与などの面でも優遇されており、アゾフ大隊がこの国家親衛隊に組み込まれ、増強されたというのは、前述のように、親ロシア派武装勢力相手に奮戦したことに対する論功行賞の意味もあったものと思われる。





問題はその思想性で、過激なウクライナ民族主義者たちと述べたが、ナチスの親衛隊と同じドクロの徽章を採用するなど、たしかにネオナチと呼ぶべき者が多かった。





2019年には、ユダヤ系のウォロディミル・ゼレンスキー氏が大統領に就任したという事情もあって、極右(=ネオナチ)思想や反イスラム思想の持ち主は排除されたと報じられているが、これについては疑問視する向きも決して少なくない。もともと政治家あるいは政治党派に属する人たちは、自分たちの立場を悪くするような事案は決して認めないものだ。





さらに言えば、やはり3月のシリーズに登場していただいた、日本において戦争反対の声を上げ続けているロシア人女性も、今回あらためて取材に応じてくれたのだが、





「あの人たち(アゾフ連隊)の中にネオナチがいたことは、ウクライナでは有名です。前回のインタビューの時は、私は中立の立場で語らなければならないし、特にロシア政府のプロパガンダに与するようなことがあってはならない、と強く思っていましたので、ネオナチという表現は慎重に避けましたが」





「ただ、ゼレンスキー大統領になってから、東部での武力衝突が少し収まり、アゾフがらみの残虐行為の話をあまり聞かなくなったことも、また事実なのです」





と語っていた。





「結局は、戦争が悪いのです。戦争にさえならなければ、ロシア人もウクライナ人も、理性を欠いた行為に容易に手を染めることはなかったはずです」





というのが彼女の結論で、私も同意見である。





ネットの一部には、彼らを硫黄島で奮戦した日本軍と二重写しに描いて英雄視する声があったりするのだが、アゾフ連隊のなんたるかを少しは学ぶべきではないか。





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