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台湾独立…似て非なる「支持しない」と「反対する」

Japan In-depth / 2022年6月1日 15時0分

台湾独立部分の原文はWe do not support Taiwan independence。文字通り読めば、米国は台湾独立を支持しない、となる。これに対し、中国は長年米国に対し公式に「台湾の独立に反対する」旨表明するよう強く働きかけてきたが、幸い、これまでのところ、米国は「台湾独立に反対する」とまでは表明していない。


 


確か、事情を知らないホワイトハウスの高官が一時そうした中国の誘いに乗りそうになってハラハラした思い出があるが、誰だったかは言わない。いずれにせよ、現在米国は「台湾独立」を「支持はしない」ものの、「反対する」とまでは決して言わないのである。でも、この2つの表現、似たようなものではないか、一体どこが違うのか。


 


この点を詳しく論じた米中の公式文書は見当たらない。されば、今は筆者が勝手に推測するしかない。筆者の見立てはこうだ。


つまり、中国は米中国交正常化前から、「台湾の独立に反対」してきたが、米中国交正常化の際、ニクソン大統領は中国に対し「米国は台湾独立運動を支持しないが、それを抑圧することはできない、と保証したPresident Nixon assured the People's Republic of China during his historic 1972 trip to Beijing that the U.S. would not support, but could not suppress, the Taiwan independence movement.」ようである。



写真)大統領専用機から降りて周恩来国務院総理と握手をするニクソン大統領(1972年2月21日 北京空港)


出典)Photo by Bryan Schumaker/PhotoQuest/Getty Images


つまり、米国は台湾が独立を宣言してもそれを支持することはないが、だからと言って、台湾独立の動きを米側が一方的に抑圧したり、力によって止めさせたりすることもできない。その意味で、米国は台湾独立に「反対する」という中国側と同じ表現を使うことはしない、というのがニクソン以来の米国の立場ではないだろうか。


 


されば、「支持しない」と「反対する」はほぼ同義語どころか、かなりニュアンスの差がある表現ということだ。最近、国務省HPの台湾ファクトシートで「台湾独立を支持しない」と書かなくなったことに注目する向きも一部にあったが、米国の「台湾独立不支持」は1972年のニクソン訪中時から変わっていないと見るべきである。 


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