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フランス、深刻な教師不足

Japan In-depth / 2022年6月6日 18時8分

中学校、および高校の正規の教師になるには、BAC+5の教育を受けたあと認定資格と採用試験に合格してから1年間の現場研修、小学校の教師の場合は、国家試験を受けてからIUFMという教師養成の機関で2年間の研修を受けることになるが、今回の非常勤枠の募集では、高校卒業後3年の教育を受けたBAC+3の資格があれば、どの分野でも応募できることになっている。





30分の面接を受けたあとに採用が決定した場合は、8月にトレーニングを受け、9月から教師として仕事を始めるが、最初の年は監督の教師が一人ついてアドバイスを受けながら授業をしていくことになる。





これに対して、急進左派「不屈のフランス」創設者のメランション氏は、「30分で採用を決めるなど、すべての教師にとって不快であるだけでなく、絶対的な愚かさだ」と批判した。十分な教育を受けていない教師を採用することで、フランスの教育のレベルの低下が心配されている。









▲写真 急進左派「不屈のフランス」創設者のメランション氏(2022年3月15日 仏・モンルージュ) 出典:Photo by Chesnot/Getty Images





■ 教師が不足する原因





しかしながら実際に教師が不足して確保できない場合はどうなるかと言えば、授業は「自習」となる。たとえ教師のレベルが十分でないとしても、実際は授業があるだけでもましなのも事実だ。





フランスでは、英語やスペイン語など、特に外国語を教える教師が各地で不足している。また、たとえ教師が確保できたとしても、その教師が病欠などで授業ができない場合、代わりの教師を探すことが困難だ。そのため授業が自習となる事態が頻繁に起こっているのだ。





そのような実情のなか、一年のうち3〜6か月自習になったということもよく聞く話だ。自習になればどうなるかといえば、もちろんその期間はきちんとした教育を受けることができず、確実に他のクラスや学校の生徒よりも学習量が少なくなる。その状況を避けるためには、教師がいないよりも非常勤の教師がいた方があきらかにましなのである。





しかし、なぜこれほどまでにフランスでは教師が不足しているのか。それにはさまざま原因があるが、一番の大きな問題は給料の低さである。





教師になるにはBAC+5の日本でいう修士をとらなければいけないのにもかかわらず、教師の初年度の給料は最低賃金の1.14倍にとどまっている。80年代には最低賃金の2.2倍〜3倍であったことを考えるとかなり低いことがわかる。修士卒であれば、一般の企業に勤めればより高い給料を得られるのだ。





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