1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

中国漁船百隻、比海域で違法操業

Japan In-depth / 2022年6月11日 14時57分

中国漁船百隻、比海域で違法操業


大塚智彦(フリージャーナリスト)


「大塚智彦の東南アジア万華鏡」





【まとめ】


・南シナ海域で中国漁船百隻が違法操業、フィリピン政府が中国に抗議。


・ボンボン・マルコス氏の大統領就任式という政治日程が関係か。


・アジア太平洋の安全保障を担う日米などの警戒感を高める状況となっている。


 


南シナ海のフィリピンが領有権を主張する海域で中国の漁船100隻が違法に操業していることが判明、フィリピン政府が中国に抗議する事態になっている。


これはフィリピンメディアや米系メディアが6月9日から11日にかけて一斉に伝えたもので、南シナ海南沙諸島にあるフィリピン西部パラワン島に近いジュリアンフェリペ礁周辺で中国の漁船約100隻が違法に操業していたという。


ジュリアンフェリペ礁はユニオン堆にある最大の環礁で干潮時に露出する礁でフィリピンの他に台湾、ベトナムも領有権を主張しているがフィリピンの「排他的経済水域(EEZ)」内にあり、無断で操業することは違法としている。


フィリピン外務省は「同海域への中国漁船の集結は1982年の国連海洋法条約、2016年の南シナ海領有権に関する仲裁裁判所の裁定など国際法に反する行為であり、さらに南シナ海での行動の自制を記した2002年の南シナ海行動宣言第5条にも反する」と指摘したうえで「中国漁船のこうした行動は不法であるだけでなく地域の不安定化の要因ともなっている」と中国に厳しく抗議した。


また4月8日にドゥテルテ大統領が中国の習近平国家主席行った電話会談で「南シナ海に関するいかなる企ても自制し、平和的な相互対話を通じて問題解決に取り組む」としたことをフィリピン側が取り上げ「両首脳の電話会談後も中国は国際法を破り続けた」と非難し、中国の不誠実さを指摘した。


中国は南シナ海の大半を自国の海洋権益が及ぶとする「九段線」を一方的に宣言して実効支配や軍事施設の建設を進めて国際的な批判を浴びているものの一向に意に介さず独自の理屈や方便、いい訳で行動を正当化する事態が続いている。


★ 比の新政権誕生をにらんだ行動か


 今回判明したジュリアンフェリペ礁付近海域への中国漁船の集結は、2021年に同海域で中国漁船約200隻が違法操業し、フィリピン政府が抗議した事案の再来である。


中国側が抗議を受けて漁船の姿が一旦は消えたものの2022年4月には100隻規模の漁船が操業を再開するなど「イタチごっこ」のような状態がつづいている。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください