中国漁船百隻、比海域で違法操業
Japan In-depth / 2022年6月11日 14時57分
中国側のこの時期の行動には5月9日に投票されたフィリピン大統領選でマルコス元大統領の長男、フェルディナンド・マルコス・ジュニア(愛称ボンボン・マルコス)氏が当選し、6月30日に大統領就任式が予定されるというフィリピンの政治日程が関係しているのではないかとみられている。
新大統領に選出されたマルコス氏はこれまでのドゥテルテ大統領による南シナ海問題への対応を引き継ぎ、「表向きは強硬だが実際には現状維持」という「あいまい戦略」を貫くものとみられている。
そのため今回も厳しい抗議を中国に突き付けながらもそれ以上の行動は自制するというこれまでの姿勢を維持する可能性が高い。
フィリピン経済には経済支援、大規模インフラ整備、投資などの中国マネーが必要なことも背景にあるのは間違いないとの見方が有力なのだ。
マルコス氏は6月9日に米のウェンディ・シャーマン国務省副長官とマニラで会談してインド太平洋での航行の自由と安全というこれまでの主張を相互に再確認した。
写真)米比合同軍事演習「バリカタン」 フィリピン・カガヤン州クラベリア 2022年3月11日
出典)Photo by Ezra Acayan/Getty Images
★ 米などの「航行の自由作戦」
中国の一方的主張に対し米英オーストラリアなどは南シナ海の国際法上で公海にあたる海域で自国の海軍艦艇、空軍航空機などによる航行である「航行の自由作戦」を繰り返し実施し、「九段線」を侵犯しているとする中国政府が反発する事態となっている。
最近中国は3隻目の空母建設や南シナ海を超えて沖縄周辺海域を通過して太平洋での軍事演習を行うなど、存在感をアピールしているが、同時にアジア太平洋の安全保障を担う日米などの警戒感を高める状況となっている。
さらにウクライナに軍事侵攻したロシアの空軍機と中国空軍機が共同で日本周辺を飛行するなど南シナ海だけでなく日本を取り巻く安保環境でも中国による緊張が高まっている。
写真)米比合同軍事演習「バリカタン」 フィリピン・カガヤン州クラベリア 2022年3月11日
出典)Photo by Ezra Acayan/Getty Images
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