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中国河北省女性暴行事件の裏

Japan In-depth / 2022年6月15日 23時0分

だが、現実は、絶対的な暴力の前では、何をしても無駄である。他方、「ちゃんと声を上げなければ、次にやられるのはお前だ」という人もいた。さて、容疑者全員の逮捕で事件は終息すると思われた。しかし、事件後、別の重大事が暴露されたのである。


11日深夜23時頃、河北省公安当局は、唐山市串焼き店での暴行事件は(隣の)廊坊市公安の広陽支局が捜査して処理すると通告(c)した。


中国の『時代週報』(The Time Weekly)は、北京市才良法律事務所の王令弁護士の言葉を引用し、次のように書いている。


河北省公安当局が「唐山市警察ではなく、廊坊市警察に捜査を依頼するのは、地元の闇勢力、もしくは、地元警察のヤクザへの“保護傘”が存在するという疑念を持っているからではないか」。


事件後、まもなく一人の男性が彼の運営するパン屋が暗黒街の人間によって店を壊されたと実名で告発(d)した。だが、警察に通報しても、立件できないので、逮捕できないと言われている。


既述の如く、暴行事件の容疑者9人は全員逮捕された。劉某、陳某志、陳某亮の3人はいずれも前科がある。


このうち、2019年、劉某は故意による傷害罪で懲役2年1ヶ月を言い渡されている。他方、陳某亮は2020年カジノ営業罪で懲役3年を言い渡された。しかし、服役中に減刑を受けている。


唐山市警察がヤクザに対し何もせず、また、ヤクザの“保護傘”に転落するという証拠が相次いだ。そのため、河北省公安は事件を廊坊市警察に移管したに違いない。


『時代週報』は、他地域の警察が捜査や起訴、裁判を行う場合には、地元警察が行うべき事件処理の公正性に関して、影響を及ぼす決定的な要因があると指摘(c)した。事件の公正性を担保するため、管轄が他地域へ変わったのだろう。


前出の王令弁護士によれば、2018年以来、重大でセンシティブな事件、あるいは、長い間遅延して処理できない事件に対しては、革新的な処理方式を採用するという。


例えば、所轄のレベルを上げたり、別の管轄の警察を利用したりする。そうすれば、地元警察の犯罪者に対する“保護傘”の役割を避けることができよう。今回の事件では、容疑者の中に、“保護傘”を受けている者が存在する公算が大きい。


 


(注)


(a)『DW』「唐山暴行事件で民衆が怒り心頭 警察が容疑者を緊急逮捕」(2022年6月11日付)


(https://www.dw.com/zh/唐山打人事件引公愤-官方急抓嫌犯/a-62100396)。


(b)『人民日報』【人民微評】


(https://weibo.com/2803301701/Lx7HdkUiH)。


(c)『時代週報』


「唐山暴行事件は廊坊警察が捜査して処理する 弁護士:他地域の警察を使えば、公正を期すことができ、ヤクザをたたけば、必ず“保護傘”をたたく」


(2022年6月12日付)


(https://www.time-weekly.com/post/292715)。


(d)『聯合報』


「河北省唐山ヤクザの故郷での『暴行事件』は、他の地方警察が捜査」


(2022年6月12日付)(https://udn.com/news/story/7332/6381858)。


トップ写真)2020年1月22日、北京駅にてコロナウイルスのため保護マスクをする中国警察。(出典:Photo by Kevin Frayer/Getty Images)


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