名前の流行と世相 地名・人名・珍名について その2
Japan In-depth / 2022年6月17日 20時0分
なにかのドラマのナレーションで、たしかに「とくこ」と読んでいた、との記憶はあるのだが、詳細まで思い出せないし、また、現在もある名前だが「のりこ」と読ませる方が多いとも聞くので、おそらく私の記憶違いなのだろう。
話を戻して、明治20年代に、新しい世の中で「四民平等」になったからか、若い女性たちが生来の名前に「子」を加えて名乗るのが流行した。
たとえば、近代日本における国際結婚の第一号であるクーデンホーフ光子だが、結婚前の姓名について「青山光子」と紹介されることが多い。本当はミツで、三女だからという安直な、もとい、実に分かりやすい命名である。
彼女と同年代の人で、明治を代表する女流作家である樋口一葉の場合、戸籍名は奈津だが、明治20年代には夏子と名乗っていた。
流行ということで思い出されるのは、私は元号で言うと昭和33年生まれで、皇太子(現・上皇)の婚約が発表されたことから「ミッチー・ブーム」が起こった年である。これまでも様々な場で書かせていただいたが、小学校以来、同級生の中に必ず「美智子さん」がいる、という経験をしている。
▲写真 国立劇場にて記念式典にご参加する上皇上皇后両陛下 出典:Photo by Pool/Getty Images
とは言えその後、女の子に紀子、雅子、愛子、眞子といった名前をつける親が増えたという話は聞かない。これは私見だが、皇室に対する見方が変わってきたということ以上に、TVが各家庭に普及していった当時の話だけに「ミッチー・ブーム」は別格だった、ということではあるまいか。祝賀パレード見たさにTVを買った人も大勢いたと聞いている。
かつてブログに書いたことだが、高校の同級生にエリカという名前の女の子がいた。昭和の男子高校生の感覚では、色白だし、ハーフなのかな、と思ったりした。
そうではないと分かって、こちらは未だに忸怩たる思いがあるのだが、
(今はいいけど、年とってエリカお婆ちゃんになったら、収拾つかないんじゃないかな)
などと考えたものだ。卒業以来会っていないが、この場を借りてお詫び申し上げます。もちろん、いくら私でも面と向かって無礼を働いたりはしていないが笑。
今では絵里香とか漢字を当てて、割と普通の名前になっているようで、つまりは「昭和世代としては珍しい」ということだ。誰でも年をとるのだから、エリカお婆ちゃんも今に珍しくなくなるのだろう。
2015年頃には、前述のAKBとは別に、古風な名前の若手女優が相次いでブレイクし、今度は「シワシワネーム」というのが人口に膾炙するようになった。具体的には(広瀬)すず、(門脇)麦、(大野)いと、(二階堂)ふみといったあたりだが、さすがに失礼ではないかと思ったので、やはりブログで取り上げた。
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