参議院選挙の本当の「争点」② 物価高
Japan In-depth / 2022年6月27日 13時11分
この条項を使えば、国民民主党の資料が示すように、価格が下がる可能性がある。
▲図 【出典】国民民主党HP
政府は、「トリガー条項」の凍結解除を見送り、検討継続となった。その意味で、トリガー条項の凍結解除は争点と言ってもいい。与野党で見解が違うからだ。
◇欧州と日本
それだけの違い、ともいえる。物価高といっても、細かい政策は詳しくない人が大半だから、「ロシアのせい」「ウクライナ戦争のせいだから」と岸田首相が言うことに納得してしまうところである。欧州ではやはり選挙にも影響を及ぼしているようだ。日本政治はどう対応すべきなのか。
前述の清水さんは語る。
「6月19日に行われた仏総選挙で、マクロン大統領率いる与党が過半数割れの惨敗を喫した原因の一つに、物価高が挙げられています。ユーロ圏の消費者物価の上昇率は5月に過去最高の+8.1%を記録しており、スーパーやレストランでの価格引き上げが消費者に明らかに認知できる水準にあります。日本の消費者物価の上昇率は4月でも+2.5%にとどまり、うち生鮮食料品とエネルギーを除くと+0.8%にとどまります。」とのこと。
清水さんはさらに言う「ドイツではガソリン代や電気料金だけではなく、パンやビールの価格まで目に見えて上昇しています。生活者としては、インフレが抑制されている日本が羨ましいというのが本音です。一方で、日本の企業は賃金カットやサービス残業で原料高を飲み込み、価格に転嫁していないのではないか、という不安が拭えません。健全な経済発展のためには、企業が従業員に適切に賃金を払うことが欠かせません。政府は物価高対策だけでなく、不当な賃金抑制への対策も進める必要があります。」とのことである。
そこまでくると物価高が争点化するのも仕方ない状況だろう。各地でデモなども起きているほどである。そして、清水さんが言うように各党も物価高対策として賃金アップについて主張をしているのも当然のことなのだろう。
◇「ロシアのせいだから」仕方ない??
欧米とは違い、日本はその点で岸田政権が言うように、欧米より低い水準で抑えられていることも確かではある。政権がうまくマネージできているのか、たまたまなのか、はわからないが、政策で問われるべきは、さらなる高騰の場合のリスクマネジメントであろう。どこまで、思い切った政策選択肢を想定しているのか、ということだろう。
アメリカのバイデン大統領は、ガソリンにかかる連邦税(1リットル6円程度)を3か月間免除することを議会に要請したそう。フランスでは燃料など生活必需品への減税を主張する政党もいた。オンゴーイングな状況なので、公約を柔軟に修正したっていいだろう。政策のイノベーションを期待したい。
次回は、賃上げを扱う。
トップ写真:ガソリンスタンド(2022年5月15日、東京・世田谷区) ⓒJapan In-depth編集部
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