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インフレが来た 現在のインフレは本当に一時的か?

Japan In-depth / 2022年6月28日 18時0分


写真)液化天然ガスも輸入価格が高騰している。(2022年4月7日 千葉県富津市冲)


出典)Photo by Carl Court/Getty Images


■ グローバル経済の変節点


 現在のインフレも、これが本当に一過性であれば、現在の日本銀行のスタンスが納得できても、できなくても、問題はいずれ解消してしまう。しかし、現在のインフレの背後にある世界経済の変化には、構造的な側面もあり、インフレ圧力の高まりが純粋に一過性のものかどうか不確実だ。米国でも、1年前にはインフレ圧力の高まりは一時的とみられていた。米国で起こることが、より小規模だが、やや遅れて日本でも起こるというのは、これまでも何回か経験してきたことだ。


 コロナ禍からの立ち上がりで、潜在的な需要が解放されることの影響は確かに一時的だろう。しかし供給面では、米中対立、コロナ禍、さらにはウクライナでの戦争などの経験から、遊びのないリーンなサプライチェーンを限りなく追求すれば良いというムードではなくなっている。万が一のことが起こっても、企業活動に深刻な影響が出ないようプランBを様々なところで用意しようとすると、それはコストを押し上げる。


 ベルリンの壁崩壊後、少なくとも先の国際金融危機までの間は、いろいろなかたちでのグローバル化が急速に進展し、サプライチェーンにおける様々なコストは傾向として年々減ってきた。しかし、グローバル経済の統合のスピードは国際金融危機を契機にスローダウンした面があるのではないか。先頃までの主要国による積極的な金融緩和によって覆い隠されている面があるが、そのことは、中国が明確に米国タイプの経済運営を目指さなくなったところに顕著に表れている。グローバル化のトレンドが変節点を迎えているのであれば、もはや以前のようにはコストは圧縮されない。


 並行して、これまで累積的に緩和されてきた金融環境が、そのような変節点を迎えた可能性のある実体経済との対比でアンバランスになっていることも意識されるようになった。そうした中でのインフレ圧力の急速な高まりであり、長期的なマクロ経済の安定のためには、まずはインフレの抑制が一番重要という判断に、主要国の中央銀行は一斉に舵を切っている。


■ 日本の金融政策


 とは言え、日本では8%、9%のインフレが起きている訳ではない。金融政策のあり方も相応に違っていておかしくはない。ただ、かつて円高への対応という配慮もあって、現時点で過剰な金融緩和となっている部分があるとすれば、それはこの円安の中で修正されてもおかしくはない。


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