参議院選挙の本当の「争点」④ 円安
Japan In-depth / 2022年7月1日 11時0分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・金融緩和政策は1つの争点。金融緩和の実行と見直しをめぐり、与野党間の対立が見られる。
・円安が進むと、非製造業では輸入コストの増加によって収益力が悪化し、国民生活に大打撃を与える可能性がある。
・「円安こそ日本衰退の基本的な原因だ」との指摘が学者から出ている。
円安が進んできている。なんと一時1ドル137円になったようだ。このことが日本経済にかなり影響を与えるはずなのに、選挙ではあまり問われていない。なので、今回は円安に話を絞りたいと思う。円安のほうが輸出企業にとっては有利であり、円高になると輸出企業が困る~と大騒ぎしていた時期がかってはあった。しかし、今は経済構造が変わった。食糧や自給率12%のエネルギー、様々な原材料はもちろんのこと、スマートフォン、家電なども輸入しているのだ。
日本企業の競争力は落ちてしまって家電ですら「Japan As No1」の時代と違ってほんとうに海外製品が増えた。話を戻して、円安は家計を圧迫する要因になってしまっている。ファーストリテイリングの柳井正さんでさえ、「円安のメリットはまったくない」とも言っている。これ以上進むと、国民生活に大打撃を与える可能性があるのだ。
■ 各党公約
それでは各党の公約と認識を見てみよう。
▲表 各党の政策比較 【出典】筆者作成
自民党、公明党の与党は明確に円安についての認識を明らかにしていない。事実として、現象として認識しているという感じである。そして、金融緩和については継続するようだ。金融緩和維持は維新の会、国民民主党も合意している。これに対して、立憲民主党、共産党は異次元の金融緩和について対立する。ここが論点の1つであろう。
論点がこれくらいしかないので、円安の問題を深堀していこう。
■ 円安3つの理由
まとめると以下の3つが原因である。
①燃料費の高騰
②アメリカ
③実需面での円買いが消滅
まず、要因①燃料費の高騰であるが、ロシアがウクライナに侵攻したことで、原油価格や食料価格がさらにあがったことが要因である。要因②アメリカでは、景気回復を背景に物価が高騰。中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が国債などを買い入れる量的緩和策を終了し、利上げを開始した。もちろん、日銀は依然として量的緩和策を継続中である。なので、両国の金利差は拡大。それゆえに投資資金による円売り圧力がでてくる。
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