1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

参議院選挙の本当の「争点」④ 円安

Japan In-depth / 2022年7月1日 11時0分

そして、要因③実需面での円買いが消滅したこと、これは日本の輸出企業だけでなく、海外の投資家も円を買わなくなっていることが理由だそうだ。





過去はドルに次ぐ安全資産として円を保有したいと考える投資家がいて一定の買いたいという需要が存在していたのだが、日本経済の地位低下とともに、需要も減った。日本の輸出企業の海外法人が受け取った外貨についても、そのまま保有され、国内には送金されないため、円買いが減っているようだ。





■ 円安の影響は恐ろしい?!





円安の影響は、それぞれの利益団体によって様々である。輸出企業にとっては業績好転・価格競争力の回復が見込める。しかし、その他はどうか。





非製造業では輸入コストの増加によって収益力が悪化する。円安によって輸入コストが増加すれば、原材料費などで作られる国内での生産物の製造コストも増加してしまうだろう。





前述のファーストリティリングのような、サプライチェーンを海外に頼っている企業にとっては大変なことだろう。









▲図  【出典】筆者作成





円の購買力低下で日本の製品・サービスや労働力は海外から見れば安くなる。輸入企業は今までよりも高い価格で輸入しなくてはならなくなる。だから、食料など輸出品は値上がるのは必然だ。





前回も紹介したように、賃上げがなされないまま、物価だけが上昇したら大変なことになる。その影響は凄いことになるだろう。水道光熱費もあがり、食料品の価格もあがるなど家計は苦しくなる。預貯金の実質的な減少もあるし(130万円=1.1万ドル→130万円=1万ドルになるわけで)、専門家は「低金利の円資産の魅力が減少して個人金融資産が海外流出する」可能性すら指摘する。





■ どうなる?厳しい見方





専門家によると、日銀が金利を引き上げれば金利差が縮小し、円安が修正されるとの予測もあるし、物価や賃金自体の上昇で修正されるとの意見もある。私は専門家ではないから将来予測はわからない。しかし、円安が日本経済にとってどういった意味があるのか、影響があるのか、どう評価するのか、今後どうなるのか、が各党から伝わってこないのは非常に残念である。





経済学者の野口悠紀雄さんは厳しく指摘する。「円安は麻薬のようなものだ。本来行われるべき技術開発と産業構造の転換をせずに、雇用を維持することができる。そうした政策を20年間飲み続けて、とうとう足腰が立たなくなったのが、現在の日本だ。円安こそが、日本衰退の基本的な原因だ」(プレジデント誌)と。





「消費者と労働者の犠牲によっている」とまで喝破する野口さんの意見に、各党はどう答えるのだろうか。特に、政権を担ってきた人たちに問いたい。





(続く。①、②、③)





トップ写真:参議院選挙選挙ポスター掲示板 提供:Japan in-depth編集部




この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください